001住み込み雇用 ページ1
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暗くどんよりとした空気が当たりを包み込んでいる。ふと頭上を見上げると今にも涙を落としてきそうな重く、鈍い色の雲。
視線を前に戻せば質素な葬式会場に疎らに立っている黒い喪服の人達。
「この度は喪主を引き受けて下さりありがとうございます」
「……親は来てねーのかよ」
「何度も説得は試みたのですが……」
何度、何度私が頭を下げようとも。姉の葬式に両親が来ることはなかった。決して酷い親ではなかった。
多分、あのことがあってから疲れたのだと思う。
端正な顔を歪めて目の前に立つ男の人はため息をついた。男の人の横に縮こまるようにして立つ小さな男の子が影に隠れるようにして立っている。
まだ頼りなく立っているこの子は親が死んだ、という事実を理解できていない。
「アイツはお前の話以外家族の話はしなかったんだ、別に構わねぇよ。……それに、お前に後で少し話がある」
「は、はぁ」
あ、名前なんだっけ、と軽く聞いてくる男の人にAです、と返す。どうせ名字は姉さんと同じなのだからこの人は知っているはず。
案の定、興味のなさそうな返事が返ってきた。
挙句、ちょっと用意終わらせてくるからガキよろしく、と言って手を振って男の人は行ってしまった。
「名前聞きそびれちゃったな」
「おなまえ？」
「そうそう。君のお名前は？」
「……めぐみ」
そっか、恵くんか、と抱き上げると身を見開いた後にふにゃりと笑った。何度か携帯電話を介して語られていた子供は間違いなくこの子で、姉さんはこの子もあの男の人も大切だったのだと思う。
喪主があの男だった時点で確実。名義は何故か私なのだけど。
「寒いよね。中に入ろうか」
「うん！」
腕からするりと降りて、テケテケと一生懸命に足を動かす姿に思わず笑みが零れる。
……笑っていられるのも今のうちだ。
＊＊＊
所在なさげに姉さんの骨壷が男の人の掌に乗せられている。大事に落とさないように持っているのに決して掴もうとしない。変な人だなぁ。
「お前、どこ住んでんだ？」
「実家です」
「じゃ、丁度いいわ。コイツの面倒見るがてら家に来い。住み込みで雇ってやるよ」
恵くんは不思議そうな顔で私と男の人──甚爾さんというらしい──の顔を交互に見ている。良いことを思いついた、と顔全体で語っている甚爾さんを見て私は間抜けな声を零した。
「は、はぁ……」
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三井葵(プロフ) - 最高の小説ですよ👍私の最推しパパ黒なのでこのお話物凄く好きですよ!更新楽しみに首を長くして待ってます (10月28日 9時) (
レス) @page6 id: b90638a2fa (このIDを非表示/違反報告)
Geekest - え、好きです、もう大好きです。そのままぱぱ黒にはママ黒と主さんを重ねて見てもらって(( モヤモヤする主さんと純粋な恵くんが見たいいいいいい！ 更新楽しみに待っております！ (10月27日 21時) (レス) @page1 id: 4581214207 (このIDを非表示/違反報告)
いてこひゃ - あぁぁぁ...最推し甚爾さんなんです、ありがとうございます、いただきます...！毎回更新と新作楽しみにしていて、今回のお話も大好きです...応援しています-`📢⋆ (10月27日 17時) (レス) id: 4685323d64 (このIDを非表示/違反報告)
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