涙。:番外編 ページ40
.
花巻side
｢はーあ。なにやってんの俺。｣
Aに別れを告げ、及川のとこに向かうのを見送れば足が自然と床に崩れ落ちた。
｢本気で好きだったのにな〜…｣
Aが及川のことまだ好きなんじゃないかとは薄々感じていた。
たぶん俺から別れ話告げなくてもきっと今日みたいになっていたと思う。
だけどここまで好きになった人はAが初めてで。
だから余計に悲しくて辛い。
｢あれ、失恋した花巻くんじゃない。｣
不意に後ろから聞こえる振り向かなくてもわかる声の主。
｢笑いに来たなら帰ってくれ…松川。｣
｢花。本当は泣きたいんだろ。今日くらいは許してやるよ。｣
｢…べ、別に泣きたくないし。｣
｢泣いてもダセェなんて誰も思わねえよ。
それだけAのこと本気だったってことなんだから。｣
こういうとき、救われるのは友達の存在だということに改めて気付かされる。
そして俺の目からはこれまでの涙がとめどなく溢れた。
ああ、俺泣きたかったんだな…。
｢大好きなんだよ…今でも。わ…別れたくなかった…俺もう立ち直れねえよ…。｣
自分でも驚くほどの弱音が出てきた。
そんな俺の話を松川は空を見つめながら聞いてくれていた。
3年間共に青春してきた仲間に今更恥じらいというものはこの際どうでも良くて。
ただ誰かに近くにいてほしかった。
そうじゃないと自分が壊れていくような気がして怖かった。
｢花はいいやつだってこと俺は知ってるからさ。
少しずつ前に進んでけばいいよ。｣
松の優しさにまた涙する俺。
ほんと情けねえ…。
｢花泣きすぎw涙腺おじいちゃんかよw｣
｢うっせ。泣かせる松が悪い。｣
.
.
｢A幸せになれよ。｣
空にかかる飛行機雲を見つめながら黄昏れる。
俺が背中を押したんだから幸せになってもらわないと困る。
｢花が好きになったAだから幸せになるよ。｣
｢そうだな。｣
俺の選択は決して間違ってはない。
これでいいんだ。
まだ諦めきれてないけど、松の言う通り俺は少しずつ前に進んでいくよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 359人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しおらん - すごい面白いです！でもこの後及川に行くのかって思うと辛いですね！早くどちらのオチもみたいです！ (2017年12月5日 11時) (
レス) id: 679bd2e3fd (このIDを非表示/違反報告)
茉莉花(プロフ) - その後の話読みたいです！あと、この作品が大好きなので、更新を無理しない程度に頑張って下さい！ (2017年11月28日 13時) (レス) id: 73a977f80d (このIDを非表示/違反報告)
フルーツ侍 - お疲れ様です！とても面白い作品ですね、いつも楽しみです頑張ってください！！あと、その後のお話？読みたいです、できればでいいので書いてください、よろしくお願いします！ (2017年11月28日 3時) (レス) id: d5eadaadbe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まぅむ。 | 作成日時：2017年11月27日 22時
