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12月
悴んだ手をそっとポケットの中に入れる
思わず吐いた溜息が白くなって消えてゆく
まるで君のようで、苦しかった
「なぁ崇にぃ」
「ん、どうした？」
「今Aのこと思い出してたやろ」
「…ちゃうよ、
冬に息吐いたらなんで白くなるんやろうって」
「ふーん」
隣を歩くこいつは5つ下の弟、望
22歳とは思えない整った顔立ちに我が弟ながら 綺麗な顔しとんなぁ って思ってまう
「人の顔じっとみて、なんやなんかついてる？」
「ははっ、ちゃうわ」
スーツを身にまとい静かな帰路を2人で歩く
昼間は騒がしいこの街も夜になったら昼間と比べ物にならないほど静かになる
あの街灯だって、あの駅のホームだって
そこの公園のベンチだって
この街の全てに君と俺と望3人の“思い出”があって
その“思い出”は儚くて美しい
なあA
君は今どこにいるのでしょう
.
続く
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作者名：なで肩 | 作成日時：2021年8月17日 16時
