3.少女と梟 ページ7
.
この出会いは彼にとって、酷く滑稽で後悔せざるを得ない
珍妙なものだった
「お菓子が足りないよ」
数分前にゴイルが嘆いたのをきっかけに、向かいに座るクラッブまでも「そうだな、買い足そう」なんて同意し始めた
「おい、まだ食べるのか」
「マルフォイも一緒にどう？」
「いらん、お前たちだけで食べろ
ったく、よくそんなに食えるな」
車内販売の菓子売りから買ったせいで、狭いコンパートメントの中に更に甘ったるい匂いが広がる
そんな空間に気分が悪くなったドラコは廊下を抜け、少々揺れる車内を散策し始めた。
ホワイトブロンドの髪を後ろに撫で付け、尖った顎の11歳の少年
ドラコ・マルフォイはAと同じホグワーツ行きの列車に乗っていた。
聖28一族の一つであるマルフォイ家の息子である彼は純血主義の一族の思想を強く受け継いでいた。
出発前に両親に言われた言葉を思い出す
くれぐれもマルフォイ家の名に恥じぬよう...
分かっているよ父さん、父さんが僕に期待してくれてる
それに応えなくては
頭の中ではこれから先のホグワーツで活躍することで溢れていたドラコ
純血の魔法族、高貴な生まれだとしても彼もまだ11歳の子供なのだ
両親からの期待に平成を装おうとも、ソワソワと沸き立つのは仕方がないこと。
連結部付近で一人になろうか、そう思っていた矢先だった
通り過ぎようとしたコンパートメントに、1人で座る少女に目がいく
横に置いた梟の籠に向かって話しかける少女が、ドラコが短い人生の中で見た人間の中で最も美しかったからだ
足を止め、否、止まってしまった
まるでメデューサに睨まれたかのように身体が石のように勝手に固まり、ただ呆然とその少女を見つめていた
梟に話しかけていた少女だったが入口で立ち止まったままのドラコに気付いたのか、その顔を上げた
2人の視線が重なり合い、5秒、10秒だろうか
体感にして30秒近く経った気がする
見つめ合ったまま、少女がパチクリと瞬きをし
そのハッと目が覚めるような美しさに、ドラコは息を呑んだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
芙蓉(プロフ) - mypuppy66さん» コメントいただけて嬉しいです！これからもどうぞよろしくお願いいたします(*^^*) (2月6日 5時) (
レス) id: b527ebd726 (このIDを非表示/違反報告)
mypuppy66(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみにお待ちしています♩ (2月5日 19時) (レス) @page18 id: 95d4a691f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：芙蓉 | 作成日時：2024年2月3日 3時
