12.亀裂 ページ38
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ドラコは順風満帆だと思っていた
そのせいか彼は忘れていたのだ
そして、自分の幼さを強く後悔する出来事が起きてしまうのである
恋愛というものは、上手くいくことの方が少ないのだ
学年末試験まであと1週間を切った頃、いつもの取り巻きたちと中庭で談笑していたドラコの後頭部に突然、ガコン！！という音と共に鈍痛が走った
「痛っ！？」
予期せぬ痛みに振り返ると、血相を変えたAの姿が視界に飛び込んできた
その表情は怒りに満ちていて、これほどまでに感情を剥き出しにして怒る姿をドラコは見たことがない
後頭部にものを投げつけられ怒りが湧いてきたはずなのに、Aの姿を見た途端怒りは消え困惑が脳内を占拠してしまった
ドラコの脳内には(僕何かやらかしたか！？どうして！？)という疑問符ばかり浮かぶ
今日の朝食中、目が合って笑ってくれたじゃないか！！
ドラコは目を見開いて、地面に転がるバケツとAを交互に見た
どれだけの強さで投げたのだろう、バケツは少しヘコんでいる
カラカラと乾いた音を立てながら転がる姿がなんともマヌケだ
『あんたほんとに最っっっ低よ！！！』
シン…と静まり返った中庭にAの怒号が響く
『バッグビークのこと本気で殺したいのね！？怪我をしたのはあんたの自業自得でしょ！？』
あまりに突然の出来事にドラコは目を白黒させていたが〈バックビーク〉という単語にハッとした
『噂になってるのよ！バックビークが死刑になるって！』
そうだ、忘れていた
新学期早々、ハグリッドは授業でヒッポグリフをドラコ達3年生に見せた
しかしハリーがヒッポグリフに乗り、注目を浴びたことが気に食わなかったドラコはヒッポグリフをからかい、挙句の果てには返り討ちにあって怪我までしていたのだ
大した怪我ではなかったが、Aの注意を引きたくてドラコはわざと大袈裟に騒いだ
その時Aは見向きもしてくれず、腹の虫が収まらなかったドラコは父に告げ口したのだ
大袈裟でヒステリックな両親のことだ
委員会に報告し、あのヒッポグリフを処分しろと訴え始めた
ドラコはやり過ぎたと自分を責めたがもう遅かった
判決は下りかけている
そうしてAの言う通り、バックビークが死刑になると3年生の中で噂になってしまったのだ
「そ...れは、」
語尾が弱々しく消えていくドラコに反し、Aの勢いは収まるどころか更に激しくなっていく
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芙蓉(プロフ) - mypuppy66さん» コメントいただけて嬉しいです！これからもどうぞよろしくお願いいたします(*^^*) (2月6日 5時) (
レス) id: b527ebd726 (このIDを非表示/違反報告)
mypuppy66(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみにお待ちしています♩ (2月5日 19時) (レス) @page18 id: 95d4a691f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芙蓉 | 作成日時：2024年2月3日 3時
