【声優・短編集】2

雪属性【梅原裕一郎】リク ページ11

主人公side



3月生まれの梅原さんは

中身がドライゆえ

個人的に勝手に雪属性の人だと思っている

実は1月生まれなのでは、なんて



同事務所の先輩で、4歳年上

私はそんな彼が少し苦手である



梅原｢…｣

｢(今日も静か)｣

でも

コケッとずっこけた

梅原｢…あー…ビックリした…｣

それも棒読みで

パタパタとおしりについたホコリを払う



荷物を確認して、歩き出した

｢(…ワックスで磨かれたからなぁ…)｣

私も気をつけよう、なんて思った



江口｢梅ちゃんが苦手？｣

ある時梅原さんの話を聞かされて

私が答えたことによりそう言われる

｢…はい、的確に言うところが少し…｣

常識外れなのは彼だけであって

考えて発言する内容は、他人には

【常識を理解しないと生きて行けねえぞ】と

言うところがあって、少し怖い



と、江口さんにこんな話をする私

最低なのでは…




江口｢ふふ、そっかぁ｣

｢？｣

江口｢確かにね｣

でも、そんな所も見方変えれば

可愛く見えるよ？なんて言われた



｢(…江口さんは、年上だからです…)｣



佐倉｢え、そうかな？｣

やっぱ、私が変なのかも

年下で、先輩ポジの佐倉先輩は

梅原さんの事はあまりピンと来てないらしい



｢(私が変なんだな…)｣

しょも、と落ち込んでたらぶつかった

梅原｢すみません…｣

大丈夫でしたか、と落ちた台本を拾われて



｢す…すみません…、｣

緊張と気まづさ、梅原さんが苦手なのが

本人に絶対伝わってるのでは、なんて



梅原｢ふ、｣

｢…ぇ｣

ふわりと笑う、そんな顔は

SNSでしか見たことがなくて



｢？？？？｣

顔が熱い、震える体

息が出来ない、あれ、なんで？？



雪属性、もはや氷になったりするはずの彼

なのに、ふわふわと降ってくる雪のように優しい

指先が触れて冷たかった



梅原｢鮫川さん｣

｢え、あ、…は、はい、！｣

梅原｢怖がらせちゃってごめんね｣

｢…ぇ｣

やっぱりバレてる、と思って血の気が引く



私は逃げたけど

その後の梅原さんはずっと優しく接してきた

｢(…か、勘違いするな…)｣

からかってるだけだ、そういう人じゃないか



なのに

梅原｢鮫川さん、あの｣

話しかけられて

梅原｢実は俺、鮫川さんと話したくて｣

私に微笑む彼、次に発言した時

私は腰を抜かすことになる



梅原｢え、大丈夫？｣

｢(………死ぬ)｣

手を握られて、その手がやっぱり冷たかった

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