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本物を見た ページ4

「アイラインよし、前髪よし、スカートのシワも……よしっ」

ほんとは良くないって分かってる。ファンに見つかったら相手にも迷惑かかるって分かってるけど、どうしても気になってしまうのだ。

これは偵察、あくまでライバル……とまではおこがましくて言えないけど、同じ地下アイドルとして雰囲気とか、ファンとの距離とか、そういうのを見にきただけだから。

大好きな量産型の服を着て、ファンの子たちに混ざる。さすが量産という名前が付いてるだけあって全く浮かない。

みんなかわいいな。やっぱりファン層違うもんだな。私たちには小汚いおっさんしか寄ってこないのに。




付け焼き刃な私たちのライブとは比べ物にならない、圧倒的なパフォーマンスだった。顔はもちろんのこと、歌もダンスも演出も手が込んでて地上のアイドルと比べても劣らないほどクオリティが高かった。

「……すご」

久しぶりのこの感覚。目に映るものが鮮やかになって、聴こえる音が鮮明になって、目が離せない、離そうとしても体が、心が、拒む。いつまでも見ていたい。この素晴らしい景色が永遠に続いてほしいとさえ思ってしまう。

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作者名:ナン | 作成日時:2024年2月25日 12時

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