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____________夜。帳の下りた地上を淡く照らす月。
浴場から聞こえる賑やかな声にふと笑みを零しつつ、渦巻き模様のボタンを留める。
騒々しい室内とは裏腹に、窓から見渡す世界は「嵐の前の静けさ」と言わんばかりの不気味な静寂が、その場を支配していた。
「………」
ｶﾁｬﾘと音を立てた鯉口をそっと手で押さえる。
履き古した馴染みの靴をつっ掛け、誰も居ない女子部屋を出る。煌々と明かりに照らされた廊下を、足音立てずに歩き出した。
「______お、」
「……やぁ。良いお湯だったかい？」
角を曲がって目と鼻の先。
おめでたい2色が視界に入った。タオル片手に佇む彼に声を掛ければ「あぁ」と短い回答が返ってきた。
通り過ぎる事も談笑を始める訳でもなく立ち止まる様子に首を傾げながらも口を開く。
「そうだ、魔獣の森攻略お疲れ様。明日も朝早いみたいだし、早めに休むといいよ」
「あぁ、分かってる。お前は結局参加しなかったんだな」
「体力温存しとこうと思って。これから数日間は気張らないといけないからね」
そう言えば彼の視線が上下に動いた。雄英の制服でもジャージでもない、宵闇に溶け込むこの服装を確認したのだろう。
目線が一周した後、彼は再び目を合わせた。
「任務か？」
「任務って程のものでもないよ。なんなら、君たちといる時は何時でもちゃんと任務中だ」
ははは、と笑いながら窓枠に足をかける。
予定は変更。此処から外へ出て月に会いに行こう。
アルミサッシへ両足を乗せ、顔だけを何か言いたげな彼の方に向ける。
「見回りを口実に、愛しい君に会いに行くだけ。だから焦凍がそんな顔する必要はないよ」
「……どんな顔だ」
「ちょっと申し訳なさそうな顔。眉間に皺が寄ってて、一見怒ってるように見えるけど、哀しげな目をしてる。感情が顔に出ない君が珍しいね」
まぁそんな顔だよ、と締め括れば彼は不思議そうに自身の頬に触れた。
既に真顔に戻った自分の両頬をﾑﾆﾑﾆと手で挟んでは首を傾げる姿が恰も幼児のようで、思わず吹き出してしまった。
「あはは！ホント、焦凍は面白いや。さて、明日から地獄のような訓練が待っている
サッシに乗せていた足に力を入れ、その場で立ち上がる。
場所バレを防ぐ為に帳は下ろせないが、ある程度呪霊は炙り出せている。木々の隙間でｺｿｺｿと此方を窺っている呪霊と態と目を合わせて、ニィと笑ってみせた。
「ここからは
静止の声も聞かず、私は飛び降りた。
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コロッケ - 本当に好き！主人公の性格とかも面白いしヒーローと呪術師の価値観の違いも上手く書かれてて最高です！是非更新宜しくお願いします！ (11月17日 2時) (
レス) @page17 id: 0002858abd (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 更新されててびっくりしました！これからも更新がんばってください！応援してます (10月19日 20時) (レス) @page16 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
マリモ - 占ツクにこんな文章のしっかりしてる最高の作品があったとは。もう何回読み返したかわからない。更新お待ちしてます大好きです (8月30日 18時) (レス) id: b3cc1c8641 (このIDを非表示/違反報告)
わらび - 投稿ありがとうございます！オリ主ちゃんや、ストーリーが好みすぎて何度も繰り返し読んでます！これからも応援してます！ (8月21日 21時) (レス) @page15 id: 852819b8c2 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのゴリラ - ほんまに好きです最新まってます (8月15日 23時) (レス) @page14 id: fa8371b6ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハル | 作成日時：2022年8月29日 22時
