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「A！お疲れサマンサ！！」
先程の黄昏が嘘のように、炎々と燃え盛る太陽をぼーっと見つめていると、弾んだ低い声がｶﾞﾝｶﾞﾝと頭に響いた。
相手方の事なんて気にも留めない無遠慮さと無神経さを合わせ持つ、神出鬼没の人物は生憎1人しか知らない。
寧ろ他に該当する人物がいた方が驚きだ。「世も末だな」と恵と2人で溜め息を吐く自信がある。
「……先生」
「ありゃ、思ったよりボロボロだね。動ける？」
突き抜ける痛みに耐えながらも慎重に後ろを向く。
予想通り、包帯から覗かせた片目を細めた五条先生がﾋﾗﾋﾗと手を振っていた。
歩み寄りたい所だが思ったよりも出血が酷く、正直なところ立っているのでやっと。
下手に動くとそのまま倒れる気がするので笑顔だけに留めておいた。
「時間を置けば歩けるようになると思う。それより、先生。見てくれてた？」
「もっちろん！Aが祓う所も、新しい技も2つ。ちゃんとこの眼で見てたよ。よく頑張ったね」
「え、へへ…照れるなぁ」
多幸感と承認欲求の充足に陶酔する。このまま海底へ沈むように、徐々に奪われる意識の中で死んでしまいたいと思う位の淡い幸福で満たされた。
「ただ《無礙》の方、脳への負荷がかなり大きいよ。緻密な呪力操作が要求されるし、何より呪力感知と同時進行ってのがネックだね。あとで憂太と硝子と所へ行っておいで。話は通しておくから」
「う、ん……ｯ！」
「如何かした…って鼻血出てるよ。やっぱり頭が耐えられてないみたいだね」
「……」
呑気に会話してる場合か…と呆れた瞬間、ふと身体に力が入らなくなった。
視界もぼやけ、度の合わない眼鏡をかけたみたいに歪んでいく。
地面に崩れ落ちる前に、先生の腕が背中に回った感触がする。
そのまま膝も掬うように搔っ攫われ浮遊感に襲われた。
「服で分かんなかったけど、結構な量の血ぃ流してんね。本ｯ当に昔から隠すのは上手いよねA。何、そんなに死にたいワケ？」
「………」
「まぁお説教は後でいっか。七海と冥さんの所行ってから直ぐ硝子の所に飛ぶよ」
辛うじて耳に届いた普段よりトーンの下がった声で、あぁ怒ってるなと察する。
滅多な事がない限り子どもたちの前で感情を荒げない人だからこそ、怒った時が怖い。
でも、そんな人に感情を向けられてる。思わず露にしてしまう程に強く、自分の事を想い、頭を一杯にしてくれている。
そう思うと嬉しくて仕方がないんだ。
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コロッケ - 本当に好き！主人公の性格とかも面白いしヒーローと呪術師の価値観の違いも上手く書かれてて最高です！是非更新宜しくお願いします！ (11月17日 2時) (
レス) @page17 id: 0002858abd (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 更新されててびっくりしました！これからも更新がんばってください！応援してます (10月19日 20時) (レス) @page16 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
マリモ - 占ツクにこんな文章のしっかりしてる最高の作品があったとは。もう何回読み返したかわからない。更新お待ちしてます大好きです (8月30日 18時) (レス) id: b3cc1c8641 (このIDを非表示/違反報告)
わらび - 投稿ありがとうございます！オリ主ちゃんや、ストーリーが好みすぎて何度も繰り返し読んでます！これからも応援してます！ (8月21日 21時) (レス) @page15 id: 852819b8c2 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのゴリラ - ほんまに好きです最新まってます (8月15日 23時) (レス) @page14 id: fa8371b6ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハル | 作成日時：2022年8月29日 22時
