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大好きで忘れられない人の話をしているはずなのになぜそんなに苦しそうな辛そうな表情なのかずっと分からなかった。酔って私の部屋のベッドで寝た時だって涙を流して名前を呼んでいたし…ただ、今はそばにいないからなんだと思っていたけど、オセフンにそんな悲しい過去があるなんて全然知らなかったよ。
「うわ、ひっでぇ顔になってる」
『だ、だってぇ……』
「ふはは」
握ってる手に力を込めたらようやくこっちを見たオセフンに笑われて。すんって鼻をすすりながら反対の手の甲で自分の頰を拭った後、ティッシュで私の頬を優しく拭ってくれる。
「だから…もう誰かを好きになる事はないと思ったからずっと自分の殻に閉じこもって心を閉ざして生きてきた。でもお前が隣に住みだして、会話をして接するうちに自然と少しずつ心が軽くなってきて…」
言いながら鼻に当てられた新しいティッシュ。ほらって言われて躊躇ったけど出したらスッキリするのが分かってるから今さら感もあるしで思いきりちーんってして鼻水を取ってもらう。でも恥ずかしいからそのティッシュはすぐに奪い取って回収。大事な話の最中に私ったら…。
「……ようやく、ヌナをようやく思い出にすることができた。それも全部お前のお陰だよ」
『オセフン……ぐすっ、』
「ありがとう、A」
そう言ってにっこり笑うオセフンの目にはもう躊躇いや曇りが無いように見えて、少しだけホッとする。
「だから…話が長くなったけど…要するに、俺から離れて行かないでほしい」
『オセフン……』
「これからも俺のそばにいて欲しいし…Aがそばにいると…すごく元気になれる」
オセフンが色んなしがらみから解放されて楽になれるのならば、いつも悲しみを湛えていたその瞳が喜びで満ち溢れるのならば、心の中の蓋をしてしまってたオセフンへの好きって気持ちも解放していいのならば。そんなに嬉しいことってないよ。
『私も…オセフンにはずっと笑ってて欲しいと思ってる』
「カフェでは笑ってるよ」
『そーいう営業スマイルじゃなくて…』
そう言ったらふんわりと包み込んでくれて、それからぎゅーって苦しいほどに抱きしめられたオセフンの腕の中。私もオセフンの背中に腕を回してぽんぽん、ぎゅーってするとふふって笑いながら頭を優しく撫でてくれる。
「もう一度聞くけど」
『ん?』
「俺の事、好き?嫌い?どっち?」
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りん(プロフ) - セフンのツンより、ヒロインちゃんの塩笑笑 (2019年12月26日 20時) (レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
norita(プロフ) - あまいくりーむさん» わーん!そう言ってもらえて安心しました〜。本当にただのほのぼのでしたけど最後までかけて満足でした。感想ありがとうございました〜(o^^o) (2019年4月12日 20時) (レス) id: aabcc6a11b (このIDを非表示/違反報告)
あまいくりーむ(プロフ) - 2人のアフターストーリーすごく嬉しくて癒されました!心温かく幸せです!ありがとうございました(^^) (2019年4月11日 21時) (レス) id: 9358b5978b (このIDを非表示/違反報告)
norita(プロフ) - ゆいなさん» 最高ですか?うわん嬉しいですT^Tこれからもゆっくりとですが頑張りますね!ありがとうございました(о´∀`о) (2019年3月24日 12時) (レス) id: aabcc6a11b (このIDを非表示/違反報告)
norita(プロフ) - きな子さん» うわぁ〜!最上級の褒め言葉頂けて幸せな気持ちになりました!!お返事遅くなってしまいすみませんでした! (2019年3月24日 12時) (レス) id: aabcc6a11b (このIDを非表示/違反報告)
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