# 69 ページ19
.
『とにかく、迷惑です、失礼します』
「…………」
何も言わずに立ち尽くしてる彼から離れて通り過ぎ、マンションへと急いで歩く。
ついて来てるからどうかも分からない、そこまで気を配れない。
エントランスに入ってエレベーターのボタンを押すと待機していたのかすぐに扉が開いて飛び乗ると閉まるボタンをこれでもかと連打する。何事もなく目の前でパタンと閉まる扉を見てようやくホッとした。
『はぁ〜〜〜〜』
未だにドキドキする胸よりも片手に買い物袋を持って握りしめてる指が手のひらに食い込んで痛いことに気付いてちょっとだけ緩めたら膝が震えているのにも今更ながらに気付く。大丈夫、あとは3階に降りたら通路を真っ直ぐに走るだけ。そう思ってたら3階に着いてゆっくりとエレベーターの扉が開く。
「はぁっ、間に合った」
エレベーターを降りて歩き出したところに背後から声をかけられて背筋が一瞬で凍りつく。
振り返るのも怖いくらいその声は足音もなく至近距離に近付いてきていて、はあっ、と短く息を吐くのはきっと横の階段を駆け上がって来たからだろう。そうしたら突然ふっと軽くなった左手。
「部屋まで持ってあげる」
『は、いいです離してくださ…』
「確かこの突き当たりだったよね」
『…………』
「昨日も待ってたんだけどさ、ほら、同じバイトの奴と一緒だったから」
『ここ、部外者立ち入り禁止ですよ？』
「うわ、今日は俺のために色々買い物してくれたんだ？」
『…だから離して……』
「ふふ、嬉しいなぁ」
ここが部外者立ち入り禁止かどうかは知らないけど簡単にここまで来られて本当に怖いと思ったのは事実。会話だっておかしいくらい噛み合ってない。でも怖がっていられない。買い物袋を引っ張られてハッとして引っ張り返した。私の食料、取られてなるものかっていう強い気持ちでいないと立っていられなくて頑張れそうになかったから。
「ねぇ部屋着とかどんなの着てるの？」
『はーなしーてくださーいー』
「あ、部屋もいい匂いするのかなぁ」
離してくれない相手にイラつきながら大きな声で抵抗するけど笑ってて全然伝わっていない。口元は笑ってるのに目は笑ってない。袋の持ち手がちぎれそうになってきてるのにがっちり掴んで緩めてくれない。もー私の食料なの！離してくださーい！
「A、走れ！」
エレベーター前から1mほど進んだ通路の辺りで後ろから聞き覚えのある声がした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 910人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「EXO」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
norita(プロフ) - Lemonさん» この話が大好きだなんてとても嬉しいお言葉です(^-^)更新をお待たせしてすみません。こつこつ頑張っていくのでこれからもよろしくお願いします。コメントありがとうございました〜！ (2019年1月3日 14時) (
レス) id: aabcc6a11b (このIDを非表示/違反報告)
norita(プロフ) - りかさん» コメントありがとうございます！楽しみにしてくれて嬉しいです。デレるセフンを気に入ってくださりありがとうございます(^-^)りかさんも寒いので体調お気をつけ下さいね！ありがとうございました！ (2019年1月3日 14時) (レス) id: aabcc6a11b (このIDを非表示/違反報告)
Lemon(プロフ) - あけましておめでとうございます。今年もお話楽しみにしています！このお話が大好きで更新首を長くして毎日待ってます笑 執筆大変かと思いますが無理なさらない程度に頑張ってください。でも早く続きが読みたいです笑 (2019年1月3日 10時) (レス) id: 211f6307a9 (このIDを非表示/違反報告)
りか(プロフ) - こんばんわ〜！毎回更新を楽しみにしています！少しずつデレるセフンがとっても可愛いです(><)体調に気をつけてこれからも頑張ってください！楽しみにしています。良い年末を(^^) (2018年12月31日 19時) (レス) id: 5e73cb75e2 (このIDを非表示/違反報告)
norita(プロフ) - ゆきぽんさん» ゆきぽんさんも泣かせてしまってるー（ ; ; ）ごめんなさい。オセフンの心の中は少しずつ温まってると思いますよ〜。ゆきぽんさんも寒波に備えて暖かくして過ごしてくださいね。いつもありがとうございます(o^^o) (2018年12月27日 8時) (レス) id: aabcc6a11b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
