カラフル＊短編集 13 (ページ8)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:62,747 hit

ほおっておけない 3＊ＪＭページ8

.

ジュンミョンの住むマンションが契約満了を迎える頃、私の住むアパートの空き部屋に越してきて早数ヶ月が経った。
朝は一緒に出かけて満員電車に乗り込むと私が潰されないように守ってくれるし帰りだって時間が合えば一緒に帰ったり時には寄り道してスーパーの買い出しにも付き合ってくれる、以前から変わらない本当に優しい人。

『ジュンミョン今いい？』

「なに？」

『開けるねー……ん？』

「あ、待った」

今日はお休みでお互い特に予定なし。
朝ご飯を食べながら“一緒に食材の買い出しに行こう”と話していたから食べ終えると急いで片付け、洗濯物を干してから身支度を整えて準備を済ませたものの、一向にジュンミョンが部屋から出てこない。廊下に積まれた段ボール箱は全部ジュンミョンの物で部屋に入りきらなかった荷物。断捨離しても彼の荷物はあまり減らなかった。いつ片付けるんだろうと思いつつ、家賃は光熱費も含めて毎月多いくらいもらっているから普段忙しい彼になかなか言い出せないままでいる。

遠慮がちに彼の部屋のドアをノックしたら中から声と共に大きな音がした。何の音だろうと思ったら中から出て来たジュンミョン。どうやら広げた荷物のせいで半分しか開かないドアから少し中の様子が見えて大きく目が開いた。

『ジュンミョン、そんなに広げて…どうしたの？』

「あー、うん。探し物してたらこの有り様で…」

『片付けるの手伝おうか？』

「いいよ、せっかくの休みなんだしAはゆっくりしてて」

きっと何か必要なものを段ボール箱から取り出そうとしてひっくり返してしまったのだろうか、部屋にはしまってあったはずの衣類なんかが床にぶちまけられてあって、スウェット姿の彼は寝癖のついた頭をわさわさと掻きあげながら部屋の惨状を見て溜息を吐いている。

『ん、分かった』

突然何かのスイッチが入ってしまうみたいで、今回も探し物をしてるうちについ広げてしまったのかな。
“買い物に行こうね”って言ったのはどうやら忘れてるみたい。まあ…いっか。

部屋でドタンバタンと片付けをしている音を聞きながら玄関で靴を履き、声はかけずにそっと扉を閉めて外へ出た。

.