カラフル＊短編集 13 (ページ14)

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7.fin ページ14

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『……買い物行く約束忘れてたくせに』

「あっ、Aがそんなこと言うなんて珍しい」

『約束は守るべきだと思う』

「確かに。悪かった」

そう言いあって見つめれば、お互いに笑顔になってなんだかあったかい気持ちになってくる。その後、ジュンミョンのお腹が盛大に鳴ったから声を出して笑ったら笑うなよって顔を赤くしてた。

チャーハンはそのまま冷蔵庫へとしまって畳んだ洗濯物を片付けると、着替えて来たジュンミョンが私にマフラーを巻いてくれて、一緒にアパートを出る。一緒に買い物に行けなかったお詫びに今夜は外食しようって彼の提案に乗ることにした。久しぶりの外食に心が踊る。

「何食べる？」

『早く食べられる物がいいよね？』

「いいよ、Aが食べたい物で」

『じゃあ何にしようかなぁ』

廊下に積まれてある段ボール箱はさっき見たら２つも減っていた。かわりにゴミ袋が２つ出来上がっていてさっき出てくる時にゴミステーションへと持ち運んでいた。私が手伝わなくても1人で頑張ってるジュンミョンを思うと愛おしさが募る。いい大人なのにとかは思わない。ジュンミョンの荷物は全て彼にとって必要な宝物。それを必要か不必要かを見極め、手放す決断をした事の方がすごい事だと思う。

『焼き肉とか、どう？』

「あ、いいねー」

薄闇が広がっていく空を見上げれば綺麗な星が見え始めていて、白い月も確認できた。
そのまま隣を歩くジュンミョンに視線を移せば頬が赤くなっていて白い息を吐きながら瞳をキラキラさせている。寝癖のついていた頭はニット帽でちゃんと隠せてる。職場ではなかなか見られない彼の素の表情がたまらなく好きだ。いつも真面目でパソコンを見つめながら何かを考えてる時はちょっと近寄り難くて…今はそんなの微塵も感じられない。

『でもさ、普通に居酒屋とかでもいいよ？』

「あーもう焼き肉の口になったからだめだめ」

『はいはい』

言いたいことも我慢せずに言えるようになったし、それについてジュンミョンの私を見る目も変わった気がする。いい傾向だとでも思ってるのかな。

だから…いつでもいつまでも…私のこと、ほおっておかないで見ていてね、ジュンミョン。

“でも…生活面では十分ヒョンの方がほおっておけない感じだけど”

いつかギョンスがぼそりと私に言ったその言葉をふと思い出してくすくす笑うと不思議そうな顔のジュンミョンが私の事を隣で見つめていた。

おわり。

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