カラフル＊短編集 13 (ページ1)

今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:62,776 hit

12 ページ1

.

「ねぇそんなキスじゃ足りないんだけどー」

『あ、スープカップ出して欲しいな』

「…………これでいい？」

『うん、ありが……』

さっき温め直したばかりだから飲むのにちょうどいい温度になっている野菜スープ。オセフンが出してくれたころんと丸いフォルムの大きめスープカップを受け取ろうとしたら目の前で顔を傾けてきたオセフンが素早く私の唇にキスをしてきた。ふにゃりとした笑顔になってとても満足そう。
たっぷりとスープを入れたカップを運び、テーブルに向かい合って座った。夜はあまり食べない私と元々食は細いオセフン。これとカフェ併設のパンコーナーで買ったバケットがあれば十分。

「はー、あったまる」

『ね、美味しいね』

「うん、うま」

『そうだ、ジェヒが私の友達に告白してね、付き合う事になったよ』

「え、あいつお前にちょっかい出してたのにもう別の奴と？」

あの時ちゃんと私の話を聞いてくれてたら機嫌を損ねないで済んだんじゃない？と思ったけどそもそもジェヒと話すのが気に入らないみたいだから時間を置いて正解だった。

『…あのね、何ヶ月経ったと思ってるの？』

「ついこの間の事だろ」

『もう1年くらいは経ったよ』

「そうだっけ？」

そう言ったら興味なさそうにスプーンを口に運んでもぐもぐしながら黙ってしまった。て、ことは…私達ももうあれから1年近く経つのか…早いなぁ…。
クリスマスはもうすぐ。一緒に働いてはいるけどラストまでだし2人でゆっくりは出来なさそう。

「ていうかやっぱり足りない」

『は？』

「さっきのキス、全然足りないんだけど」

『……もうその話終わったと思ってた』

「俺の中では全然終わってない」

黙っていたと思ったらスプーンを持ったままこっちを見てこっちへ来いとばかりに顎をくいってさせてるから呆れてしまう。

「は～や～く～」

『今は食事中ですよオセフンさん』

「…………」

『…………』

ツンだけならまだしもちょっとめんどくさい。

「あのさ、バイト明けって1日帰るのずらしても大丈夫？」

『え、何かあるの？』

「何って…1日くらい俺にくれてもよくない？」

あー、私が空気読まずにそういうこと言うからオセフンが口を尖らせてる。

「冷たいなぁ、俺の彼女は……」

『分かった、1日空けておくね』

「よし、約束な」

『うん』

ようやく機嫌を直してスープを美味しそうに飲んでいるオセフンを見てホッと安心。

.