28ー柊さん ページ31
柊さんは公安に配属された時点でいつか家族との縁を切る予定を立てていたと言った。
誰からも恨まれずに生きていくということが難しい仕事なので、家族に怒りの刃が向かないようにと縁を切ったらしい。
妻にさえ事情を話せないということもあって表向きは痴話喧嘩で離婚ということになっているんだそうだ。
…これもかなり苦渋の決断だったらしい。
そんな家族とよりを戻したというのはつい最近の話で、本当に5、6日前くらいの話とか。
柊さんは仕事ができる人間だ。
突然誰も思いつかないような突飛な行動に出たと思ったらそこから正解への道を開いてしまう。
誰からの人望も厚く目の付け所が普通の人とは違う。
そんな柊さんをずっと追ってきたし、柊さんに何度も助けられた。柊さんの頼みならなんでも聞こう、それが答えだった。
聞けば、娘さんが1人暮らしをし始めた頃、奥さんが見つけた部屋に忘れていったある一冊の本が気がかりだったとか。
その本が、アニメのキャラクターがまるで自分に話しかけているかのような構図の漫画本で。
そこで「この子、アニメのキャラクターしか好きになれないのかしら…」と不安に思った話を奥さんが柊さんにしたらしい。
と、いうことで僕の出番だ。
快く了承すると、柊さんは嫌なら断ってもいい、と言ったが、柊さんの娘ならば僕も安心できる。そう素直に説明すると、気分が良くなったのかお酒を勧められた。
お見合い当日、全ての準備をし、柊さんのお宅へと向かう。
古風な大きな建物へ到着し、インターホンを鳴らすと女性の方が出てきた。
やけにでかい玄関で靴を脱ぎ、用意されていたスリッパを履くとリビングへ通される。
まだそこにはお見合い相手である柊さんの娘さんはいない。
「ごめんなさいね〜、まだ娘が到着してないみたい。うちの子、時間にルーズなのよねぇ。黙ってると美人さんなんだけど…」
ちなみに釣書のようなものは見せてもらっていない。名前さえも教えてもらっていないので、直接会って判断しろ、ということらしい。
しばらくすると、玄関の戸を開ける音がした。
それに気がついた奥さんがぱたぱたとスリッパの音をさせてリビングを出て行く。
娘さんが来たのだろう、やんわりと話し声が聞こえる。
ぱたぱたと音がだんだん近づいて来て、入って来たのは何とも見覚えのある人物だった。
「柊さん…?」
「あ、むろさん!!!??!?!」
僕のつぶやきは、柊さん(娘)によってかき消された。
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なし子(プロフ) - akumaさん» コメントありがとうございます!気に入って頂けて何よりです(^-^)これからもよろしくお願いします!! (2019年2月18日 22時) (レス) id: b16c87546b (このIDを非表示/違反報告)
akuma(プロフ) - 新しい話ありがとうございます!18話すごい好きです。面白くて繰り返し読んでます!これからもお願いします (2019年2月12日 21時) (レス) id: f48d4cbf1b (このIDを非表示/違反報告)
なし子(プロフ) - 朝凪来夢さん» コメントありがとうございます!朝凪来夢さんのことすげえ好きなんですけど() (2019年2月6日 20時) (レス) id: b16c87546b (このIDを非表示/違反報告)
朝凪来夢(プロフ) - 私の凡人アカデミアすげえ好きなんですけど() (2019年2月3日 15時) (レス) id: babb22cfda (このIDを非表示/違反報告)
なし子(プロフ) - 颯さん» コメントありがとうございます!頑張ります!!! (2019年2月3日 14時) (レス) id: b16c87546b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ポトハッハ(なし子) | 作成日時:2019年1月6日 17時