落ち ページ13
──咥えた小型の懐中電灯に丸く照らされ、揺らぐ水面に赤色の煙が立ち昇っていた。浸した両手から溶けだすそれはあっというまに薄まって見えなくなる。目で見えなくなっただけ。�爐修讚瓩修里發里�消えたわけじゃない。
手についた泥も水中で擦り落とした。早く帰らないと雨が降ってきてしまう。
私はあの水を汚した。りゅう兄があれを口に入れなくて本当に良かったと思う。
■
深夜三時、布団から抜け出す。活動している事がバレないように、灯りをつけてはならない。私の部屋を出て階段を降り、りゅう兄の部屋の前は特に静かに通る。
──この部屋をでて左側の廊下は行っちゃだめ。
風呂場があるから。
──お風呂は壊れて使えない。
酷い異臭がするから。
──冷蔵庫は勝手に開けないで。
見られたくないものがあるから。
長い廊下の突き当たりは浴室で、そこには叔父さんの体がある。私が殺した叔父の体だ。
殴られるのが嫌で母の悪口を聞くのが嫌でタバコの火種が自分の体を焼く音を聞くのが嫌だった。だから、空の酒瓶を持って、酔っ払って寝ていた叔父の頭に何度も振り下ろして殺したのだ。
死んだ叔父さんは、少しずつ刻んで捨てた。昨夜はあの神社の裏に埋めた。りゅう兄が来てから刻む作業も捨てる作業も全部夜のうちにしなくちゃいけなくて大変だったけど、昼間はりゅう兄と居るのが楽しかったから全然大変だとは思わない。
血が染み付いた簀子を裸足で踏む。家中の刃物やペンチを使っても叔父さんの体は半分もなくならない。そろそろノコギリを買うべきだろう。きっとそれも一つじゃ足りないはずだ。
手が痛くなってきてしまったので、踵で峰を踏みつけて叔父さんの右脚の付け根に出刃包丁を沈める。
「腐臭が強くなってきたな」
至って冷静な声は私のものではなかった。
「りゅう兄」
彼は浴室の入り口に寄り掛かり、此方を冷たく見下ろしていた。寝巻きに着ている白浴衣の上にはあの外套を羽織っている。りゅう兄に見られた。
こんな時だというのに、私はりゅう兄の白い肌にはやっぱり黒が似合うのだと考えていた。
りゅう兄は鞠でも持つように片手で何かを掴んでいて、それを私の足元に投げ捨てる。ごろりと転がって此方に苦悶の表情を見せたのは、新聞紙に包まれた叔父の頭だ。冷蔵庫に入れていたはずの。
「咄嗟にしては良く出来た嘘だが──西瓜と呼ぶには形が歪だったな」
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若葉 - 途中からおじさん亡くなっているのかなぁ〜とは思ったけどすっきり読めて面白かったです。 (2023年4月10日 17時) (
レス) @page16 id: 7981b3d9d1 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - 月@坂田家さん» 妄想ありがとうございます(？) 芥川さんに恋愛感情はありませんが夢主が「恋人ごっこしよ〜」て頼めばワンチャンあるかもです (2019年10月14日 21時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - 龍さん» ありがとうございます！ 番外としてなら書いてみたいですね〜。コナンとのクロスオーバー……この夢主は犯罪者なので罪が必ず裁かれるコナン界では圧倒的不利…！ (2019年10月14日 21時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
月@坂田家 - 龍さん» 最高かよ(真顔)ここからは私の妄想ですが僕の人と←←(すみません)夢主ちゃん付き合う的な？妄想してました。はい←← (2019年10月14日 18時) (レス) id: b21dfdda1d (このIDを非表示/違反報告)
龍 - とても面白かったです！続編が出るなら即効読みたいです！！探偵社と関わったりポトマと楽しく任務もこなす様子とか読んで見たいです。クロスオーバーで、コナンとのコラボもありかもと、想像してます！これからも応援してます。 (2019年10月8日 17時) (レス) id: 8c48355218 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめ | 作成日時：2019年5月3日 14時
