残されたメッセージ ページ45
あの夜、私はかなり緊張してた。
まさか隆弘がうちへ来るなんて思いもしなかったし、私の部屋に隆弘がいることが信じられなかった。
着替えてる時に酔いが覚めたことを自覚して冷静になったら、なんだか怖くなってきて。
どうして隆弘が突然来たんだろう。
何か伝えにに来たんだよね。
何を言われるのかな。
香織を通して連絡するのやめろ？
もう関わらないで？
そんな不安ばかりが頭の中をぐるぐると。
着替えてリビングへ戻ると隆弘が何か呟き、音楽を聴いていいかと表情で問われた。
その子犬のような目線に胸がキュッと鳴って、懐かしさと嬉しさが込み上げた。
それからの私は、ビリージョエルの音楽も手伝ってか、緊張はしつつも浮かれていて……
隆弘も楽しそうに音楽を聴いていて、たまに目が合えばにこっと目尻を下げて微笑みをくれた。
昔のように隆弘と音楽を楽しめるひとときが嬉しくて幸せだった。
この時間を手離したくなくて、苦し紛れに提案したお蕎麦も、たくさん食べてくれた。
そのせいか、隆弘は私が片付けをしてる間に眠ってしまった。
ソファに座ったまま…
声をかけても全く反応無しで。
ブランケットをかけてあげて、少しだけ、と隣に座って隆弘の寝顔を見てたら眠くなってきて…
欲深い私は眠る隆弘に寄り添った。
ほんのちょっと、彼の体温と香りに触れたかっただけなのに……
気づいたら翌朝で、1人自分のベッドにいた。
もちろん着ていた部屋着は乱れることなく、隆弘に掛けてあげたはずのブランケットに包まれていた。
「はぁ、何やってんだろ、私」
『よく襲われなかったね』
「彼はそんな人じゃないよ」
『へぇ、紳士なのね〜』
奈緒は半ば信じられないといった表情。
いまだに芸能人である隆弘のことを誤解してる。
『次の約束とかは？』
「…特には……」
『……どうなのよ、それ』
奈緒は不満そうに呟いた。
「いいの…、ちゃんとメッセージくれたから」
ベッドサイドのチェストには、腕時計が置かれていた。
隆弘が着けていたもの。
初めは忘れていってしまったのかと思ったけど、きっとそうじゃない。
“おはよう、みお。
よく眠れた？
昨夜はごちそうさま。
また、連絡する。
090-××××-××××”
そう書かれたメモとともに腕時計が置かれていた。
きっと、時計を取りにまた、来てくれる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 224人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さら(プロフ) - chr916さん» お返事遅くなりました。何度も読み返してくださって嬉しいです。続きを更新しました。コメントありがとうございました。(^^) (2022年10月11日 4時) (
レス) id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - ao.aoさん» ご無沙汰しています。続きを少し更新しました。いつも感想をありがとうございます。(^^) (2022年10月11日 4時) (レス) @page49 id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
chr916(プロフ) - 何度も読み返すくらい大好きです！続きが早く読みたいです🙇♀️ (2022年10月2日 19時) (レス) id: 2b8ccb9b49 (このIDを非表示/違反報告)
ao.ao - 更新ありがとうございます！胸キュン❤️いいなぁ〰と想像膨らませて読ませて頂きました。続き早く読みたいー待ってますから〜 (2022年7月16日 1時) (レス) @page45 id: 80a471aa5a (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - ao.aoさん» コメントありがとうございます。嬉しいです(^^)今後、2人はどうなるのでしょうか。いつも読んでくださって感謝です。 (2022年7月12日 10時) (レス) @page43 id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さら | 作成日時：2021年5月15日 11時
