そっと握らせる鍵(side N) ページ40
カシャン、という金属音がした。
その音の方へ目をやれば、そこにみおはいた。
ゆっくりと近づいて、彼女との距離を縮めていく。
もう会えないと思っていた。
でもずっと会いたかった。
みおがいる。
目の前に。
俺の手が届くところに。
俺の目はもう、みおしか映らない。
『た、隆弘……』
立ち尽くすみおの足下の鍵を拾い、彼女の震える右手にそっと握らせる。
俺の手も震えてるけど、どうか気づかないで。
「みお、連絡が遅くなってごめん。……俺今、声こんなだから、電話よりも直接話したくて…」
どうにもかっこ悪いしゃがれた声で伝える。
本当は、マスクもキャップも、メガネも外してみおと向き合いたい。
ただ会いたかった。って、本音を伝えたい。
『隆弘……、声…、しゃべっちゃ、だめだよ……』
みおは今にも泣き出しそうなカオして首を左右に振る。
「大丈夫、これくらい平気」
みおを安心させたくて、精一杯の今出せる1番の声で言う。
それでもみおは俯いて首を横に振る。
『こんなとこ、来ちゃだめだよ。誰に見られるか…』
「それは、ごめん…」
そう言ってみおの隣に視線を移すと、じーっと俺を観察するように見ている女性。
確か前に、みおの会社のパーティーで会った。
日高のファンだって言ってた子。
俺だって、バレてるよな…
勝手に来た俺が悪い。
もう覚悟決めて挨拶……
『みおさん！ もしかしてこの人が元カレ？ うちの会社にこーんなイケメンいたんですね〜』
「あ、え…？」
『所属どこですか？ あ、私はマーケティング部の横倉紗和です』
「えっと、」
俺が誰なのか全く気づかれていない。
どうやら俺を同じ会社の人間だと思ってくれてる？
『あっ、紗和ちゃん、彼ね、本社所属じゃ無いっていうか…』
『あ、じゃぁグループ企業の人か〜。だから会ったことないんだ。初めまして〜』
「あ、初めまして。」
どうやらすんなりと納得してくれたようだ。
と安心したら、今度は急にキッと睨まれて、る……？
『タカヒロさん、みおさんのことまた傷つけたら許しませんからっ！』
「…え」
『ちょっと紗和ちゃんっ』
『じゃ、私は空気を読んで帰りまーす。みおさんまた月曜にね〜』
その子はあっという間に帰っていった。
俺にほとんど喋る隙を与えずに。
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さら(プロフ) - chr916さん» お返事遅くなりました。何度も読み返してくださって嬉しいです。続きを更新しました。コメントありがとうございました。(^^) (2022年10月11日 4時) (
レス) id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - ao.aoさん» ご無沙汰しています。続きを少し更新しました。いつも感想をありがとうございます。(^^) (2022年10月11日 4時) (レス) @page49 id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
chr916(プロフ) - 何度も読み返すくらい大好きです！続きが早く読みたいです🙇♀️ (2022年10月2日 19時) (レス) id: 2b8ccb9b49 (このIDを非表示/違反報告)
ao.ao - 更新ありがとうございます！胸キュン❤️いいなぁ〰と想像膨らませて読ませて頂きました。続き早く読みたいー待ってますから〜 (2022年7月16日 1時) (レス) @page45 id: 80a471aa5a (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - ao.aoさん» コメントありがとうございます。嬉しいです(^^)今後、2人はどうなるのでしょうか。いつも読んでくださって感謝です。 (2022年7月12日 10時) (レス) @page43 id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さら | 作成日時：2021年5月15日 11時
