2人の過去 ページ29
秒針が存在を主張するように音をたててる。
もうどのくらい時間が経ったのかな。
太一がいれてくれたカフェオレは、飲みかけのまま。
居心地の良い太一の部屋は、2人の思い出がたくさんある。
ここでこれからも楽しい日々を過ごしたいと思っていた。
こうして太一の隣にいることがわたしの幸せだと思っていた。
思おうとしていた。
『史上最年少で4大ドームツアーか……』
沈黙を破ったのは太一。
私が頷くと、彼はまた『すごいよなぁ』と呟く。
「太一、あの…」
『みお、俺の話、聞いてくれる？』
私が頷くと、太一は穏やかに微笑み、『ありがとう』と私の頭をひと撫でした。
『実は……、前に西島君に伝えたことがあるんだ。俺がみおを幸せにするって』
「……え、」
『ははっ、いきなりなんの話だよって思うよな』
驚きで言葉に詰まる私に、太一は続ける。
『みおと西島君がまだ付き合ってた頃の話。当時、俺には西島君といるみおが幸せそうに見えなくて、もう黙っていられなくなったんだ。
‘守れない約束はするな’、
‘みおを縛るのやめろ。無責任だ’、
‘俺の方がみおを幸せにできる’
って。俺も若かったよな…』※1
「全然、知らなかった……」
『西島君は何も言い返さず、黙って俺の言い分を聞いてた』
「そう……」
『きっと西島君自身も悩んでいたんだと思う。それは彼の表情から伝わってきた。本音を全部呑み込んでいるような、そんな表情だったから』
「……」
『それから数ヶ月経って、君たちは別れた』
私は当時のことを思い出していた。
隆弘とのすれ違いの日々。
不安と孤独に耐えていた日々。
そしてあの夜のことを。
『みおは前に俺に聞いたことがあるよね？ どうして君たちが別れたあの夜、俺がみおのマンションにいたのか』
「うん……」
そう、あの夜隆弘に別れを告げられ自分のマンションに帰り着くと、太一が待っていた。
そこで私は大泣きしたんだ。
それまで泣きたくても泣けなかった分の涙を、あの夜太一の前で流し、その間ずっと太一は隣にいてくれた。
それで私は救われた。
『西島君から電話で伝えられたんだよ。
“ みおの側にいてあげて下さい。……泣いてると思います”って……』※2
当時、太一と隆弘がそんなやりとりをしていたなんて。
私は何も知らずに……
※1「誰よりも君を愛す2」ストーリー72より
※2「誰よりも君を愛す2」ストーリー80より
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さら(プロフ) - chr916さん» お返事遅くなりました。何度も読み返してくださって嬉しいです。続きを更新しました。コメントありがとうございました。(^^) (2022年10月11日 4時) (
レス) id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - ao.aoさん» ご無沙汰しています。続きを少し更新しました。いつも感想をありがとうございます。(^^) (2022年10月11日 4時) (レス) @page49 id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
chr916(プロフ) - 何度も読み返すくらい大好きです！続きが早く読みたいです🙇♀️ (2022年10月2日 19時) (レス) id: 2b8ccb9b49 (このIDを非表示/違反報告)
ao.ao - 更新ありがとうございます！胸キュン❤️いいなぁ〰と想像膨らませて読ませて頂きました。続き早く読みたいー待ってますから〜 (2022年7月16日 1時) (レス) @page45 id: 80a471aa5a (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - ao.aoさん» コメントありがとうございます。嬉しいです(^^)今後、2人はどうなるのでしょうか。いつも読んでくださって感謝です。 (2022年7月12日 10時) (レス) @page43 id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さら | 作成日時：2021年5月15日 11時
