思い出の波 ページ24
耳を劈くほどの歓声
ドンドンとお腹に響く音響
酔ってしまいそうなペンライトの波と特効
そしてほのかに漂う爽やかな香り
ここは別世界、夢の世界……
お客さんはみんな笑顔。
私のように緊張面してる人なんていない。
会場にいる人皆、たった1人のエンターテイナーに夢中だ。
『きゃーっ！ Nissy！！』
隣で香織も歓声をあげて‘5’の形をしたペンライトをぶんぶんと振っている。
ムービングステージ上のスターは、眩しい。
彼のファンへ向ける仕草、表情一つひとつが、まるで魔法のように会場全体を幸福で包み込んでる。
遠い人。
別世界のスター。
胸がきゅっと疼く、なんだか懐かしい感覚。
そうだ、何年も前、彼のグループのライブを初めて見た時もこんな感じだった。
『こっち来たよっ。ほらみおっ、ライト振って！……Nissyー！！』
香織に右腕を取られて高々と掲げられ、左右に振られる。
私は胸の前で左手をぎゅっと握り祈る。
「隆弘……」
どうか、
どうか彼が無事にこのステージをやり遂げられるようにと。
『豊田さんから返事来た？』
Nissyが一旦舞台裏に捌けた時、香織が耳元で言った。
私はスマホを確認するも、何の通知も無い。
「ううん、まだ…」
『そっか。まぁ、ちゃんと説明すればわかってくれるよ』
「うん…」
そこで会場が聴き覚えのあるピアノのメロディに包まれ、ブルーの衣装を着たNissyがステージに現れた。
『……すごいね。声帯痛めてるなんて思えない……』
“ワガママ”を聴きながら、耳元で香織が言うのを聞いた。
私は頷くと同時に思い出す。
星空の下で隆弘と一緒に“ワガママ”を口ずさんだこと。
一度思い出の蓋を開ければ、止めどなく押し寄せてくる思い出の波。
‘今西島君と歌いながら見えたんだ。西島君がソロのライブでたっくさんのファンの前で歌ってるところ’
あれは、もうずっとずっと昔のこと。
屋久島の夜空の星を眺めながら“ワガママ”を歌い、東京にいる隆弘を想って伝えた言葉。
離れていても空は繋がっている。
それと同じように、私の心も隆弘のそばにいたい、寄り添いたいと願った。
“みお、会いたい……。会いたい”
「隆弘……」
堰き止めることも、
押し返すこともできず、
彼の歌声と思い出に揺られる。
抗うことなんてできずに。
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さら(プロフ) - chr916さん» お返事遅くなりました。何度も読み返してくださって嬉しいです。続きを更新しました。コメントありがとうございました。(^^) (2022年10月11日 4時) (
レス) id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - ao.aoさん» ご無沙汰しています。続きを少し更新しました。いつも感想をありがとうございます。(^^) (2022年10月11日 4時) (レス) @page49 id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
chr916(プロフ) - 何度も読み返すくらい大好きです！続きが早く読みたいです🙇♀️ (2022年10月2日 19時) (レス) id: 2b8ccb9b49 (このIDを非表示/違反報告)
ao.ao - 更新ありがとうございます！胸キュン❤️いいなぁ〰と想像膨らませて読ませて頂きました。続き早く読みたいー待ってますから〜 (2022年7月16日 1時) (レス) @page45 id: 80a471aa5a (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - ao.aoさん» コメントありがとうございます。嬉しいです(^^)今後、2人はどうなるのでしょうか。いつも読んでくださって感謝です。 (2022年7月12日 10時) (レス) @page43 id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さら | 作成日時：2021年5月15日 11時
