勝手な人 ページ3
木製の扉を開けると、耳心地の良い音楽が聴こえる。
暖色系の灯に照らされる店内はほぼ満席。
お客さん達は其々、美味しい料理とお酒、そして会話を楽しんでいる。
店の奥には小さなステージ。
そこにはアップライトピアノとドラムセット。
カウンターに目線を移すと、口髭を生やしたマスターが気づいてくれて、にっこりと笑みを向けてくれる。
そしてマスターは斜め左の、カウンター席に座る栗色の髪色の男性に声をかけた。
私の緊張が、一気に高まる。
1時間ほど前……
『みお。……俺はみおに会いたい』
「……っ」
『会いたい』
「でも私……」
『ちゃんと話したいんだ。2年前のこと』
「……」
『勝手なこと言ってごめん。前に日高と3人で会った店にいるから、来て欲しい』
「無理だよ、」
『待ってるから』
隆弘はそう言って一方的に電話を切ってしまった。
その後、何度かけ直しても繋がらなくて……
マスターに声をかけられた隆弘は、こっちを振り返り柔らかく微笑む。
その下がった目尻にシワを寄せて。
「本当に、勝手な人……」
人懐っこい笑顔で強引なことをするところは、昔のまま。
よく考えれば、
一方的に別れを選択して、2年以上経った今になって話がしたいだなんて、
本当に勝手だと思う。
でも私も私だ。
そう思っていても、そして太一への罪悪感を抱きながらも、
こうして隆弘の勝手な願いを聞き入れてしまうのだから。
きゅっと疼く胸に手を当てて、ゆっくりと隆弘の側へ。
『来てくれてありがとう』
さらに目尻にシワを寄せて、くしゃりと笑う隆弘。
私もつられて顔がほころび、緊張が少しだけ解れる。
「ううん。こちらこそ時計をわざわざ持ってきてもらっちゃってごめんね。体は大丈夫なの？」
『大丈夫。痛みは相変わらずだけど、なんとか』
「早く帰って休んだ方が…」
『こういう時間も大事なんだよ。それより座って』
「あっ、うん…」
私は隆弘の右側、椅子一つ分空けて腰を下ろした。
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さら(プロフ) - chr916さん» お返事遅くなりました。何度も読み返してくださって嬉しいです。続きを更新しました。コメントありがとうございました。(^^) (2022年10月11日 4時) (
レス) id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - ao.aoさん» ご無沙汰しています。続きを少し更新しました。いつも感想をありがとうございます。(^^) (2022年10月11日 4時) (レス) @page49 id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
chr916(プロフ) - 何度も読み返すくらい大好きです！続きが早く読みたいです🙇♀️ (2022年10月2日 19時) (レス) id: 2b8ccb9b49 (このIDを非表示/違反報告)
ao.ao - 更新ありがとうございます！胸キュン❤️いいなぁ〰と想像膨らませて読ませて頂きました。続き早く読みたいー待ってますから〜 (2022年7月16日 1時) (レス) @page45 id: 80a471aa5a (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - ao.aoさん» コメントありがとうございます。嬉しいです(^^)今後、2人はどうなるのでしょうか。いつも読んでくださって感謝です。 (2022年7月12日 10時) (レス) @page43 id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さら | 作成日時：2021年5月15日 11時
