電話 ページ2
気づけば日は沈み、薄暗いリビングから寝室へ行き、クローゼットの奥から箱を取り出して、その中にしまわれたものを手に取った。
捨てたくても、捨てられないもの。
ベッドに腰掛けて、片手におさまるそれを軽く揺らしてから、ゼンマイをまわす。
スノードームのゴールドのパウダーがゆらゆら、キラキラと舞い、
オルゴールの音色が奏でられる。
“星に願いを”
久しぶりに聴く音色は、心穏やかにしてくれる。
大丈夫と、心に寄り添ってくれる。
目を閉じて、手の中のスノードームをぎゅっと握った。
しばらくして、
リビングに置きっぱなしだったスマホの着信音が小さく聞こえたから、目を開けた。
「電話……、香織か」
すぐにリビングに戻ったけれど着信は途絶えてしまい、
スマホの画面を確認すると、
不在着信
090 ×××× ××××
「誰……？」
知らない番号が表示されていた。
「…………隆弘」
直感だった。
迷った末に、スマホの画面をタップして折り返した。
Prrrrr…
『……みお？』
一度目の呼び出し音が鳴ってすぐ、
耳元で私の名前を呼んだのは、やっぱり隆弘だった。
スマホ越しの隆弘の声は、とても柔らかで、優しく耳に響く。
『……みお？ みおでしょ？』
「うん……」
『折り返してくれてありがとう』
「ううん、……時計、のこと？ かな」
『そう。この前忘れて帰っただろ？ 番号香織に聞いたんだ』
「ありがとう。私も連絡しなきゃって思ってたんだけど……」
香織や佑一郎君に聞けば、隆弘の連絡先はすぐわかる。
でも隆弘と会う勇気がなくて、先延ばしにしていた。
『連絡が遅くなってごめんな』
「隆弘が謝ることじゃないよ。私こそ忙しいのにごめんね。時計は隆弘のマンションのフロントの方に預けてもらうことできる？」
後で取りにいくから。
と、なんとか隆弘と会わずに時計を受け取る方法を考えた。
『……渡したいものがあるんだ』
「なぁに？ じゃぁそれもフロントの方に……」
『みお。……俺はみおに会いたい』
「……っ」
『会いたい』
掠れた低い声
甘く優しい響き。
胸が、疼く……
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さら(プロフ) - chr916さん» お返事遅くなりました。何度も読み返してくださって嬉しいです。続きを更新しました。コメントありがとうございました。(^^) (2022年10月11日 4時) (
レス) id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - ao.aoさん» ご無沙汰しています。続きを少し更新しました。いつも感想をありがとうございます。(^^) (2022年10月11日 4時) (レス) @page49 id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
chr916(プロフ) - 何度も読み返すくらい大好きです！続きが早く読みたいです🙇♀️ (2022年10月2日 19時) (レス) id: 2b8ccb9b49 (このIDを非表示/違反報告)
ao.ao - 更新ありがとうございます！胸キュン❤️いいなぁ〰と想像膨らませて読ませて頂きました。続き早く読みたいー待ってますから〜 (2022年7月16日 1時) (レス) @page45 id: 80a471aa5a (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - ao.aoさん» コメントありがとうございます。嬉しいです(^^)今後、2人はどうなるのでしょうか。いつも読んでくださって感謝です。 (2022年7月12日 10時) (レス) @page43 id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さら | 作成日時：2021年5月15日 11時
