立ち聞き ページ34
二次会はあっという間に中締めの時間になり、出席した人が香織と佑一郎君に挨拶をして、帰り始めた。
西島君は相変わらず、女の子たちに囲まれている。
家まで送ってくれるって言ってたけど、どうかな。
西島君のこと、待ってた方がいいのかな…
悶々としていたら、香織と佑一郎君も帰る時間になってしまったようで、見送る事に。
「香織、佑一郎君、今日は本当におめでとう。とても良い結婚式だった」
『みお、ありがとう。みおとニッシーからのサプライズが1番、嬉しかった』
『俺も泣かされたよ。ありがとね、みおちゃん。西島にもよろしく伝えて。あいつファンの子に囲まれてて挨拶できないわ』
佑一郎君が苦笑いしてる。
「ほんと。人気者だね、西島君て」
自分の言葉にチクリとまた、胸の痛み。
香織はそんな私の心に気づいたようで、
『みお、ニッシーはニッシーだから。それを忘れちゃだめだよ。それと前にも言ったけど、自分の気持ちに素直にね』
「…ん、香織にはお見通しだね。まだ何も話してないのに」
『当たり前。ハネムーンから戻ったら尋問するから。覚悟してね』
「ふふっ、なんかそれこわいかも。ハネムーンはヨーロッパだっけ？ 気をつけていってらっしゃい」
2人を見送り化粧室へ向かった。
化粧室手前の角を曲がろうとしたら
『ずっと、ファンでした』
『あ、ありがとう』
角の向こう側から聞こる会話に、私は足を止めた。
西島君の声だ…
『これからも応援してます』
可愛らしい女の子の声。
彼女の喜びが声から伝わる。
そうだよね、こんなところで憧れの歌手に会えるなんて、きっと夢のような気持ちだろうな…
『どうもありがとう』
どうしよ…
この場を離れた方がいいよね。
そう思って、会場へ戻ろうとしたら
『えっちょっと!?』
どんっという音と、戸惑う西島君の声。
『あの、もし嫌じゃなければ…今夜、一緒に過ごせませんか？ 今夜だけって約束します』
嘘、
これって…
一気に私の鼓動が速くなって、足がすくむ。
そういうこと、だよね。
やだ。
どうしよう。
このままここにいちゃだめだ。
でも、気になる。
西島君はなんてこたえるの？
まさか、誘いに乗る？
いや、それはない、はず。
『あの…えっと、』
西島君の声。
やっぱりこわくて、その場を離れた。
彼の言葉の続きを聞かずに。
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さら(プロフ) - 恋葉さん» コメントをありがとうございます。完全自己満な作品に感想をもらえて嬉しいです。その曲知らなかったので聴いてみました。いかようにも解釈できる、想像膨らむ歌詞ですね。好きなシーンを伝えてもらえて最高にハッピーです。読んでくれて感謝です。 (2020年4月24日 3時) (
レス) id: 9f1002156f (このIDを非表示/違反報告)
恋葉 - 楽しませていただいております！！！個人的には7ページのチョコレートの話、Da-iCEのチョコレートシンパシーに似ててすっごい好きです(*´∇｀*) (2020年4月23日 19時) (レス) id: 35a567dc92 (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - てんさん» コメントをありがとうございます。楽しみにしてもらえるって嬉しいですね。これからもニッシーの恋の行方を見守って下さい。 (2019年5月9日 1時) (レス) id: 012c2a9612 (このIDを非表示/違反報告)
てん - いつも楽しみにしてます！この物語のにっしーが好きすぎます(*´ω｀*) (2019年5月8日 11時) (レス) id: 3758975c70 (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - 憂さん» コメントをありがとうございます。とっても励みになります。楽しんでもらえてよかったです。 (2019年4月25日 3時) (レス) id: 012c2a9612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さら | 作成日時：2019年4月17日 4時
