つながった(side N) ページ26
みおに避けられてると言い張る香織に、そう思う理由を聞くと、
『理由は…たぶん、みおが不倫してるから』
「ぶっ」
はぁ!?
何言ってんだよ。
思わずビールを噴き出しそうになったわ。
『香織、不倫じゃないだろ、まだ。相手結婚はしてないんだから』
それまで黙っていた佑一郎が口を開いた。
おいおい、まじで?
『不倫と一緒でしょ。相手は婚約して結納も済ませたんだから。みおの会社の人が言ってたもん』
本当かよ。
あの真面目そうなみおが不倫って…
やべ、なんか変な汗が出てきた。
「本当、なのかよ。みおが、その、」
なんだかショックが大きくてうまく言葉が出てこない。
『会社の上司と。去年の暮れあたりから』
香織ははっきりとそう言った。
いつだったか、みおとの電話越しに聞こえた男の声。
落ち着いた感じの低い声だった。
あの時一緒だった奴の事なのか。
「それで、なんでみおが香織を避ける?」
『たぶんみおは、もうすぐ結婚する私達と会いづらいんじゃないかな…。前から、みおが彼女持ちの人とそういう関係なのは聞いてたの』
「そんな事やめろって言わなかったの?」
『言った。何度も言ったよ。でもみおの気持ちが変わらないと、私がいくら言っても…。とにかく、見守ってたんだけど』
「いや、それで一番傷つくのは相手の婚約者とみお自身だろ。俺だったら、どんな手を使ってでも、やめさせる」
何むきになってんだ、俺。
『私だってさ…やめてほしい。みおにはもっと自分を大事にしてほしい』
香織はテーブルに突っ伏してしまった。
つながった気がする。
俺の直感だけど、みおの、あの時の何とも言えない表情はこれが理由かもしれない。
決めた。
みおと会って話す。
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作者名:さら | 作成日時:2018年10月29日 0時