君と (ページ23)

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力になれること(side N) ページ23

『うち、ここなんだ。送ってくれてありがとう。タクシー呼ぶ？』

みおのマンションに着いたみたいだ。

「いや、もう少し歩こうかな。たまに歩くのもいいな」

『そっか、じゃぁ行くね。おやすみなさい』

みおはおじぎをして、エントランスへ向かおうとした。

「待って」

そう言って俺はみおの腕を掴んでいた。

おい、

この手はなんだ？

どうしたいんだよ、俺は。

『ん？どうしたの？』

「えー… 部屋どこ？」

うわ、何言ってんだ俺。

『え？』

やば、絶対下心あるって思われる。

「あー、いや、心配で」

あーもう、無いわ。

何やってんだよ、俺は。

『ぷっ、何それ、大丈夫だよ。西島君て本当に心配性だね』

クスクスと笑うみお。
俺もつられて笑う。

『ありがとう、西島君。大丈夫だよ、おやすみ』

「だよな、ごめん。じゃぁおやすみ」

みおと再会して2回会っただけだけど、ふとした瞬間の、彼女のあの表情が気になる。

心ここにあらずって感じの顔。
その瞳には、どこか哀しげな雰囲気がある。

仕事の事でも考えてんのかな。
それは俺もよくあるから、気持ちはわかる。

でも仕事の事を考えてあんな表情するだろうか。

みおはあまり自分の事を話さないから、もしかしたら、内にため込むタイプなのかも。

話をすると楽になるのにな…

俺もそうだけど、悩みって誰かに聞いてもらうだけですっきりするし、話してるうちに自分の考えを整理できて、本当にしたいことが見えてくることもある。

みおがどんなことに悩んでるのかわからないけど、力になれることがあるといいな。