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12年ぶり ページ2

『ごめん、遅くなった』



息をきらして入ってきた男性。
キャップを深くかぶり、サングラスをしているから表情はよく見えないけれど、声はとても申し訳なさそう。



それにしても…



なんか格好がチャラい。学生?



『おっせーよ、おつかれ西島』



『ニッシーやっと来た。今日はもう無理かなって思ってたよ』



『わりぃ、思ったより撮影が長引いてさ』



佑一郎君から西島と呼ばれた人は、私の隣に座った。



『何飲む? ビールでいい?』



佑一郎君からの問いに頷いた西島さん。
ふと、こっちを見ると



『久しぶりだね、橘さん』



キャップとサングラスを外しながら言った。



「え? えーと、暗くてよくわからないんだけど」



誰?
私、こんな人知らない。



『中学卒業以来だよね? 忘れちゃった?』



そう言って笑った西島さん。



明るくなった照明の下でよく彼を見てみると、なんとなく見覚えが…



ん?



んん?



「あっ、あー! 西島君!?」



驚いた。



まさか歌手になった西島君だなんて。
そうだ、西島君は中学の同級生だった。



『あっはははは! びっくりした?』



手を叩いて笑ってる彼。



「びっくりした。そうだよ西島君て同級生だった」



なんだか遠い世界、違う世界の人過ぎて、本当に同級生!? っていう感覚。



『みおのこと、驚かせようと思って』



いたずらっ子のような笑みを浮かべる香織。



「もうっ、言ってくれれば良いのに」



『サプライズ〜! 大成功!』



西島君は満面の笑顔。



『みおちゃんて、西島と同じクラスだったことあるの?』



佑一郎君に聞かれて思い返してみたけど



「無いかな。ね、西島君」



『うん、無い。でも何度か話したことはあるよ』



「そうだっけ?」



『え、橘さん覚えて無いの? うわ、へこむ』



あからさまに落ち込む素振りをみせる西島君。



「あの…ごめんね、西島君」



『うそうそ、冗談だよ』



うわ、笑顔が眩しい。
キラキラしてる。
さすが芸能人。



飲み物が揃ったところで、改めて4人で乾杯。



『12年ぶりの再会だね。よろしく、橘さん』



「こちらこそ、よろしくね西島君」



楽しい時間を過ごせると良いな。



そんな気持ちを込めて、西島君とグラスを合わせた。

夏色→←梅雨空



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作者名:さら | 作成日時:2018年10月29日 0時

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