君と (ページ1)

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梅雨空ページ1

肌にまとわりつく湿った空気。

上京して5回目の梅雨。
故郷北海道では感じたことの無い、このもわっとした空気には、いまだに慣れない。

見上げると、私の心の中の様にどんよりとした曇り空。

「今頃2人は一緒かな」

わかりきっていることを呟いて、ため息をついた。
心の中のもやもやを吐き出す様に。

そんなことを考えても仕方ない。
2番目でいい。
それでも一緒にいたいと望んだのは私。

だけどそれじゃ満足できなくなっている。
どんどん欲張りになっていく私。

彼の本命になれないことはわかっていても、別れるという選択はできない。
ずるい私。

今日は香織と佑一郎君が飲みに誘ってくれた。
2人は私の中学の同級生で、恋人同士。

大学進学を機に上京していた2人は、地元の大学卒業後に上京した私を色々と助けてくれた。

今も香織とは休みの日にランチをしたり、たまに佑一郎君と3人で飲みに行ったりしている。

私が彼女がいる人と関係を持っていることを知っている2人。

そんなことはやめた方がいいって、何度も言われているけれど、私は彼との関係を断ち切れない。

1軒目の居酒屋で気分が良くなった私達。2軒目はカラオケへ行くことに。

『今日さ、友達もう1人誘ってるんだ。まだ仕事が終わらないみたいだけど』

歩きながら、香織が言った。

「あ、そうなの？私いて大丈夫？」

『気にしないで、おもしろい奴だからみおちゃんも話しやすいと思うよ』

佑一郎君も知っている人なんだ。

友人が多い香織と佑一郎君。
飲み会の途中から2人の友達が加わることは、よくあること。

カラオケ店に着き、改めて3人で乾杯。

「あーお酒が美味しい」

2人の友達はまだ来ていない。
忙しい人なんだろう。

「何歌おうかな…」

小学校から大学卒業まで、地元の合唱団で合唱をやってきた私は、歌うことが好き。

久しぶりのカラオケだぁ。
ちょっとわくわくする。

タッチパネルを操作しながら選曲していたら、部屋の扉が開いた。