ごめんね ページ44
香織と会うことになった。
今日は土曜日、夕飯にお鍋を作って食べようってことに。
香織のマンションへ向かう途中、スーパーに寄って必要な食材を買った。
「着いた、なんか緊張する…」
ちょっと、気持ちを落ち着かせよう。
今までずっと香織を避けていたこと、謝りたい。
身勝手だったと。
許してくれるかな…
ちゃんと、今まで思っていた事を話そう。
香織は聞いてくれるはず。
インターフォンを押すと、勢い良く扉が開いた。
『みお! 会いたかったよ』
香織が私に抱きついてきた。
「香織…今までごめんっ」
私も香織を抱きしめ、何度もごめんねを伝えた。
私が泣いたらだめって思ってるのに、涙が止まらない。
「ごめんね、ごめんなさい」
『…ニッシーがね、教えてくれた。みおが泣いてたって。私の方こそ、みおがつらい時に一緒にいられなくて、ごめんね』
「どうして香織が謝るの、悪いのは私。ごめんね、香織にひどいこと…」
それ以上言葉が続かなくて、香織をぎゅぅっと抱きしめた。
少しの間、お互いの気持ちが落ち着くまでそうしてた。
『ふふっ、私達玄関で何やってんだろ』
「…ほんと、おかしいね」
香織と2人で、今度は笑いが止まらなくなった。
『あはは、もうリビング行こ』
「うん、そうだね」
香織に続いてリビングに入ると
「佑一郎君、おじゃまします…西島君!? いたの!?」
ソファでくつろいでいる佑一郎君と西島君。
『いたの!? って…ひでぇな』
「ごめん、いると思わなかったから…」
『はははっ、だよな。今から佑一郎と飲みに行くからさ、俺が迎えに来たの』
そうだったんだ。
『いらっしゃいみおちゃん。元気そうで良かった。でもちょっと痩せた?』
「えっ、そうかな…。佑一郎君、心配かけてごめんね」
『心配したよ〜、でも今日は会えて良かった』
「うん、ごめんね」
佑一郎君も私を責めない。
どうしてみんな、こんなに優しいの。
再び涙腺がゆるむ。
そんな私に気づいた西島君が、茶化す様に言った。
『泣き虫みお』
「まだ泣いてないもん」
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作者名:さら | 作成日時:2018年10月29日 0時