7色の後ろ側 9《赤》

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『しげだけはこういう事ないと思ってた！』
『真のアイドルだって信じてたのに』
『所詮年頃男子』
『私の大毅を返して』
『担降り確定。裏切られた』


広島公演直後の事。
例の記事が載った雑誌が発売されてから、その反響は凄まじかった。


桐「しげ大丈夫か？」

重「俺が蒔いたタネやからな。
ファンの言葉はどんなんでも全部受け止めるわ」

中「何かお前男らしなったなぁ」

重「元からじゃ！」


こんな時でもそんな男気見せちゃって。


大きくニュースで報道された訳でもない。
だけど今の時代、ネットを使って情報はすぐ拡散して。
いい事なのか悪い事なのか、その反応は一瞬で本人の元へ返ってくる。


『しげ最近雰囲気違うから、恋したのかと思ってた！
自担の色恋辛いけど今のしげもちょー好き』
『乗り越し実話説浮上？最高にエモい』
『少クラ神回君へのメロディーはこうして生まれたのか』
『正統派アイドルしげちゃんから、恋を知って色気増しの大人しげちゃんに進化！よだか楽しみすぎるー！』


もちろん全てが悪いものではなくて。
この記事を知った上で応援してくれるファンだってたくさんいる。


大毅は今までと同じようにメンバーとふざけて、笑って。
こんな事、マネージャーが言うべきじゃないのかもしれない。けど。


「無理して笑うの、辛くないの？」


大毅が家にきた時、聞いたことがある。


重「マネが言う事ちゃうな(笑)
...別に無理してる訳やないよ。

なんかな、そりゃ俺の力でたくさんの人が幸せにできたらええなって思うで。

やけどやっぱさ俺なんて全然ふっつーの人間やん。
そりゃ好き言う人もおったらさ、嫌い言う人も出てくんねん。
それは当然の事でさ。

ただそれをなんつーの？
他の人より露出が多い分、伝えてくれる人が多いだけ。みたいな。
そんな風に考えるようになったらさ、だいぶ楽になったわ」


鼻をかきながらそんな風に言う大毅に、私は素直に感心した。
もしかしたらそれは当たり前の事なのかもしれない。
でもそうやって考えるのって、勇気がいると思う。
誰だって人から嫌われるのは怖いと思うから。


重「健太もキリコもすげー謝ってきてさ。
こういう世界で恋愛事が大変なん、今ならよくわかるしな。
それに俺やっていつファンに報告する事になるかわからんし」


そう言ってしげが私の手を握った。


「言うなら俺の口から伝えたいけどな！
パパラッチ的なんは嫌やわ。
いつか、俺がもっとファンから認めてもらえるようになったらさ。
ちゃんと言えたらええな」


それは私達の未来を思った言葉で。
私はその手を握り返した。

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