7色の後ろ側 9《赤》

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side 重岡

会議室を出る前にAを引き止めて声をかける。


重「今日、家行ってもええ？」

「...いいよ」


Aがちらっとこっち見てそう言うて。
ここ最近ずっと断られてた俺とAとのテンプレ会話。

俺は嬉しくなって淳太の背中に飛びついた。


中「おっも！
お前回復早いねん！！
もうちょい静かにしとけや！！」


ほんで淳太に落とされたのは言うまでもない。








重「ただいま」

「おかえり」


仕事終わらして、一回家に戻ってからAの家きた。
もらった合鍵使て入ったけど、音に気づいたAが玄関まで出てきてくれて。

俺は靴も脱がんと手掴んで引き寄せた。


「ちょ、大毅、くるし、」

重「あかん、もうちょい我慢せぇ」


そのまま背中に回した腕に力を入れて。
最初抵抗しとったAも観念したらしく俺の背中に手を回した。
俺がずっと欲しかったやつ。


「カレー、火にかけてる、から！」

重「え！カレー作ったん！？」

「作ってるから、早く離してっ」


素直に離せは急いでキッチンに戻ってカレーかき混ぜる。
うわほんまや。俺の大好きなカレーの匂い。
Aで頭いっぱいやって気づかんかった。

手ぇ洗ってうがいして、そのまま料理しとるAを後ろから抱きしめる。


「...邪魔」

重「ほーけ」

「大毅」

重「何？」

「私はまだ、大毅に言いたい事あるんだよ」


そう言ったAはちょっと怒った顔しとって。
俺はまぁ、怒られるような事したわけで。


重「...ごめんなさい」

「何が」

重「あんな写真撮られて」

「それもだけど。それだけじゃない」

重「え、」


ぶっちゃけそれ以外に心当たりがなかって。
え、何？何に怒ってんの？


「...」

重「ごめんやけど、言うてくれな、俺わからん」


素直にそう言うたらちょっと泣きそうな顔するから、焦った。


重「え、何！？ごめんって、何で？あかんって泣くなや」

「...この前の生放送」

重「ん？大阪のやつ？」

「あれ、放送後KIKIさんと話してたでしょ、廊下で。
私トイレ行こうと思って廊下歩いてて、2人に気づいたの」


うわ、まじか。全然気づかんかった...。


「杉崎さんとKIKIさんの事知らなかったから。
ごめんだけど、あれ、すごい嫌だった...」


俺の方見んと鍋くるくるかき混ぜて小さな声でそう言うて。


「別に女友達とご飯行くなとか、そんなん言う気ないし。
ああいう捏造記事だって大毅みたいな立場の人と付き合うなら覚悟しなきゃいけない事だって思ってる。

...だけどあんな形で知ったのが、正直、キツかった」


Aが小さく鼻をすするのがわかった。

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