7色の後ろ側 9《赤》

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side 重岡

もうほんま、どうすんねん。
あの後通話かけたけどAには繋がらんくて。
つい貧乏ゆすりなんてしてまう。


何で？
何かあったんかな。
もう俺の事嫌になってしもたん？
いや、Aを事務所に戻すならその方がええのかもしれんけど。
やけど...。


そろそろ移動車出ようって時やった。
スマホが震えて誰かも確認せんと通話ボタン押して耳に当てる。

それに気づいたメンバーが俺の様子を伺うのがわかった。


『あ、大毅ー？なぁ蟹いつ届くん』

重「...は？」


想定外の声に一度スマホを見直すと“おかん”の表示。


重「え？おかん何言うてんの？」

母『大毅が蟹送る言うてるってAちゃん言うてんか。やからいつこっち届くねんて』

重「いや意味わからんのやけど。
何？おかんてAと連絡とってんの？」


そんなん初耳で、つか何呑気にアホみたいな事言うてんの？って余裕のない俺イライラしてまう。
ほんなら通話が一方的に切られた。


重「はぁ！？」

中「何？Aちゃうかったん？」

神「おかん言うてなかった？」

濱「え？え？」


隣で聞いてた淳太も不思議そうにこっち見とって。
直後送られてたおかんのメールの内容に、俺らの声は見事重なった。



重中「「何でやねん！！！」」


おかんとAが2人で写っとる写真。
背景的にたぶんあいつの部屋。


母『蟹速達で送ってなー』


なんてふざけた要求まで言うてきて。





重「...美和さん、ちょ、蟹買うてくる」

美「ったく...ファンいるんだから絶対バレないでよ？あと熊谷さん同行させて」

熊「はぁ...もー、重岡さっさと行くぞ」

重「うす！」



ジャージ姿でキャップにマスクに眼鏡。
こんなんで全力疾走しとったらジャニーズやなくても目立つんちゃう？

やけど絶対に買うときたくて、俺は空港内を全力で走った。



そのままバタバタ皆に合流して飛行機乗り込んで大阪向かって。
ファンにはバレずに済んだけど、熊さんも俺も汗めっちゃかいとってメンバーすげー笑われた。

ほんで、事の経緯聞きたくても機内は使えるはずもなく。


神「何でしげのおかんとAが一緒におんの？」

重「ほんまそんなんこっちが聞きたいわ...」


やけど写真のAは笑っとったから。
それ見れたんだけは、ちょっとおかんに感謝やな。

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