7色の後ろ側 9《赤》

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side 重岡


これ俺の歓迎会なんだろ！？なんて熊さんが騒ぐから、話はそれで一度終わった。

ホテル着いて同室の照史とベットに倒れ込む。



桐「飲んだなぁ！」

重「熊さんがな(笑)
あの人何者なんほんま」

桐「ええ人よな(笑)」

重「俺めっちゃ好きやわ」


水飲みながらそんなん言うてスマホ見たけど、Aからの連絡はない。

既読ついとるから、気づいてはいるはずなんやけど。
そんなんで簡単にふわふわしてた気持ちが落ちていく。


重「...」

桐「あー、俺風呂朝入る。
しげ入るんやったら入りー」

重「ん」


そのままベットに潜り込んですぐ寝息立てだし照史はほんまに酔っとんのか、それとも俺に気遣って寝たふりしたんかわからん。


重「お前が蟹言うたんやんけ。...どうすんねん」


Aと撮った写メ見ながらそんなん言うたら連絡くるんちゃうかなんてキモい事考えとったけど、朝になってもAからの返事はなかった。









side A


社長と別れてホテル戻る。
大毅や皆から連絡はきていたけど、どうしても返す気分にならずに既読スルーして眠りについた。


美和は気を利かせて話したい事があるなら連絡してって言ってくれて。
こういう時に頼れるのはやっぱり美和で。

...ただただ心配してるからって鬼電してくるのが優しさではないんだよ小瀧くん。

望からの引くほどの着信履歴画面をスクショして美和に送ったら直後、締めとく。と物騒だけど頼もしい返事がきた。








「...ただいま」


朝方迎えにきてくれたタクシーに乗り込みちょっとぶりに戻った自分の部屋はやっぱり落ち着く。

1週間にも満たない軟禁生活だった訳だけど、必要最低限の人にしか会えない状況と、多少なりとも他人を警戒してしまう自分に思っていたよりずっと疲労感を感じていた。


「しげお大丈夫かな」


自宅を空けていて心配になるのは大毅にもらったアイビーの事で。
すくすく成長したしげおくんは今は瓶から抜け出しベランダのプランターに植わっている。

覗いてみると変わらず緑の葉をキラキラさせていて、安心した。



伸びた先を少しだけ切って、部屋の瓶に挿す。
すぐ横にある中身がだいぶ減った赤いマニキュア。

一緒には行けないからと、ネットを使って2人騒いで買った食器やパジャマ。
本棚に増えた少年漫画。

部屋狭いんだからって散々言ったのに、面白いからお前も読めって無理矢理持ってきた。



狭い部屋には、想像以上に大毅が溢れていて。



それに気づいた途端、ああ、唯一の空間すら居心地が悪くなってしまった。
鼻の奥がツンとして、私は顔を歪めた。

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