7色の後ろ側 9《赤》

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警察で事の流れを説明する。
流れが一通りKIKIさんと同じだった事、合わせて加害者の女性も自白しているようで事情聴取は思っていたよりずっと早く終わった。


熊「お疲れ」

「お疲れ様です」

熊「じゃあ事務所、戻るか」


熊谷さんの隣に乗り込むと車はすぐ動き出した。


熊「高野とWESTも収録終わり次第事務所くるから」

「はい」

熊「犯人、なんだって」

「....しげの活躍を邪魔したKIKIさんが許せないって」

熊「...その結果、重岡くんを一番傷つけてるのが自分だって、なんでわからねぇんだろうな」

「...」


低い声で吐き捨てるように言った熊谷さんの言葉に、私は何も返せなかった。





「え、これ乗るんですか」

熊「社内の移動時間かかると大変だからな。今日だけ頼むわ」


そう言って座ったのが車椅子で。
いや足捻っただけだし！こんなの絶対必要ないし！って思いながらまぁ大企業の大きなビル。
足を引きずって歩くのは確かに大変な訳で、素直にお借りした。



事務所に着いて案内された部屋がいつもより大きな会議室な事、
そこにずらっと並んで座る上層部の方々を見て私は背筋がピンと伸びた。


ジ「YOU怖かったね」


この場の空気にそれはあまりに似つかわしくない優しい声で。


ジ「...女の子の体に傷を残してしまって、本当に申し訳ないと思ってるんだ」


そう言って社長が頭を下げたから、私は慌てて立ち上がった。
ああ、右足が痛い。


「そんなっ」


だって、社長は何も、悪くないのに...


ジ「自分のタレントじゃなかったとしても体を張って守ってくれた事、僕はとても誇らしいよ。
...でもYOUは女の子なんだから。
所属タレント以外の社員も、僕は我が子のように
思ってる。
こんな危険な事もうしないって約束してほしい」


「...はい、すみません」


広「...それでは。ここからは仕事の話をさせて頂きます」






広報部の方が淡々と説明してくれた今後の対応。
それは会社の評判を下げない為の対応で、それでいて私の事を守ろうとしてくれている事もわかった。

ただ、それは私の長い夢が覚める事を意味していて。





「...それを私から皆に説明する時間は頂けるんですか」

広「今日この後高野さんとWESTが来るのでそのタイミングで。
暫くは世間も騒がしいと思うので、こちらで用意した宿泊施設で生活してもらいます。

その後の事についてはまた、落ち着いた頃お話ししましょう。

もし何か引き継ぎ事項等あれが熊谷に。
それでは、以上になります」


私は涙を堪えるのに必死で、最後になるまで会議室から出られなかった。

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