7色の後ろ側 9《赤》

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不思議そうな顔をするKIKIさんの手を掴んでくるっと体を反転させて。
正面口に向かおうとしたはずの足が竦む。


K「えっ」

女「...で」

「...」


さっきの女の人がこっちをじっと見ていたから。


女「...いで」


自分の意思かもわからないままKIKIさんを自分の後ろに引いた。

なんだか全てがスローモーションに感じる。

女の人が何か言ってるけど、それよりも手元のブレスレットが赤色をしていて。



「あ、大毅のファンなんだ」



そう言ったつもりだけど果たして声に出ていたかどうか。


正面口に待機していた警備員が異変に気付いて走ってくる。

その奥に見えるのはKIKIさんのマネージャーさん。
うわ、顔青。

後ろからKIKIさんがすごい力で引っ張るってくるけど、今体を動かしたらあのカッターの刃が当たるのはあなたでしょうよ。



皆がここにいなくてよかった。
いたら間違いなく飛び込んでくるもん。

大毅知ったら悲しむよね、バレないようにできるかなぁ。


そんな事まで考えられるんだからやっぱりすごいスローモーションなんだ。

じゃあ逃げろって話、だよなぁ。



私は鈍い衝撃がきっかけで、一気に時間が進むのを感じた。









side 桐山

桐「A遅いなぁ。
俺もうサラダやなくてお弁当食ってまうで？」

重「我慢せぇやデブ！」

桐「人が傷つく事言うたらアカンて教わらなかったん！？」

重「お前は人ちゃうやろ！ブタやww」


あかーん！
しげの奴どつきたいけどお腹すいて力でぇへん。
なんなんもうAの奴どこほっつき歩いてんねん！


望「なんかパトカーの音せぇへん？」

神「おわ、ほんまや」

中「物騒やなぁ」


弁当食べながらそんなん言うたんは望で。
こいつ耳ええからなぁ。


藤「一台とかちゃうくない？
まじでヤバイやつちゃう？」

濱「ピーポーも鳴っとるやん」

桐「ピーポーてw」

望「何？救急車の事言うてます？w」

重「テロちゃうー？ニュースつけてや」


ンなわけあるかいって言いながらニュースつけるけど特に速報もなく。
野菜の値段が高なってますーってまぁ割と見慣れたニュース。


中「火事とかか「失礼します！！！」


ノックもなんもせんといきなり入ってきた人に全員見事に反応する。

あれ、見たことあるな。誰やっけ。


美「え、お疲れ様です。...どうかしました？」

濱「誰やっけあの人」

重「...キリコのマネさん」


あ、そうや。やから見覚えあったんや。
え、何？また何かあったん？


マ「あの...！」


しげの手から落ちたペットボトルが床に大きな水溜りを作った。

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