7色の後ろ側 8《赤》

15 ページ15

荒々しいキスなのに、私を床に倒す時すごくそっと倒すから、胸がぎゅーっと掴まれるような感覚になる。

この人は私の事好きなんだ。
そう確信できるくらい大切に扱われてるのが、わかる。

そろっと盗み見たしげの顔が色っぽくて、体が熱くなった。

耳や首にあたる唇の感覚で彼が緊張してるのが伝わって、私にまで感染して、ずっと神経が敏感になる。



《トントン》

仲「失礼致します。
重岡様、A様、お食事の用意ができました」



「「！！！」」


バッと扉を見て、バッとお互いの目が合う。
今絶対お互い同じ様な顔してる。


「...ぅわっ」

重「ちょ、自分それ、直して」

「う、うん」


ぐいっと手を引かれ立たせられて、着崩れた浴衣を直すよう言われる。
お互い顔を赤くして、恥ずかしすぎてお互背を向けて。

しげはその間にも頭掻いたり、深呼吸しながらも玄関近くまで足を進めた。


重「大丈夫？」

「うん、大丈夫」


扉を開ける前にもう一度振り返ってこっちを確認して。
私は浴衣を直して座椅子に座って姿勢を正す。


重「すんません、お願いします」


しげがそう言って声をかけると、先程の仲居さんがにっこり笑って料理を並べてくれた。


仲「やっぱり浴衣紺色で正解でしたね。すごくお似合い！ねぇ？」

重「う！？あ、そっすね」

仲「はぁ、もうね、照れちゃって！良かったですねぇ」

「あ、はは」


親しみ感がありつつちょっとお節介というか。
とても魅力的な人なんだけど(笑)

一通りの料理の説明をしてくれて、飲み物もせっかくだからと2人で日本酒をお願いする。

お酒を持ってきて、去っていくかと思いきや、仲居さんはそのまま、さぁ！と手を出してきた。


仲「お2人並んでお写真撮りましょう！
お料理食べ始め前にね！1枚！」


お互い顔を見合わせて、ぱちくりする。
隣並んでくださいね！なんてぐいぐい来られて流されるまま隣に並んだ。


仲「じゃあまずピースね！その次はお姉さんお酌してあげて！最後ね2人とも笑ってー！」


カメラマンさんなの？ってくらいの勢いで、てか1枚じゃないし！
内心ツッコミを入れてたのはしげも同じだったみたいで、ちらっと横目で目が合ったらお互い我慢できず笑い出してしまった。


仲「あら、いい笑顔！」


仲居さんが満足気に笑うとスマホを私に返して、それではごゆっくりと部屋を出た。


重「なんなんやろこの感覚」

「親戚のおばさん感...」

重「それや！(笑)」


気が抜けてしげの肩に頭を乗せてそんな事呟けば、しげが楽しそうに笑った。

16→←14

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す