7色の後ろ側 8《赤》

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大阪のライブが終わった頃には、もう春を感じる季節になっていて。
皆と仕事を始めて、大毅と付き合い始めて、あっという間に時間が過ぎていく。

左腕には大毅がくれた時計が一定のリズムでこの瞬間の時間を刻んでる。



美「どうしたの？」

「あ、お疲れ様」


美和が私の分のコーヒーも持って隣に立った。
大阪での3公演が終わって、オフを挟んで、大阪でスタジオ撮影。
これが終わったら今日は歌番組の生放送も待ってる。


「あっという間だなぁと思って」

美「もうすぐ4月になるんだもんね」

「私が皆と働くようになったのが6月、だよね」

美「そうそう、それくらい」

「もうちょっとで1年かぁ...」


目まぐるしい日々の中でも確実に皆の露出は増えていって。
濱ちゃん流星の主演ドラマ、ネット配信の大毅と神ちゃんのドラマももう撮影が始まってる。
そして望の主演映画、それに合わせて新曲の発売。


「ライブのさ、プリンシパル大好きなんだよね」

美「あれはファンの評判もすごい良いからね」

望「なーんの話してんのー？」


そんな私達を見てしっぽを振りながらやってきたのは望で。


美「望はやっぱりかっこいいなぁって話」


美和がそう言うと分かりやすくでれっと顔を崩すもんだから、かわいいんだよね。


望「んふふ、今日の撮影スーツやからぁ、スタイルの良さが目立つねんな？
ほんで髪もな、ええ感じやねん！」


にこにこ話す望を見て、望を迎えに行くのがきっかけだったんだよなぁなんて。
ついに背伸びして望の頭にぽんと触れた。
あ、やばい。


望「ほぁぁぁあああ！？」


桐「望うっさい！(笑)」
中「なんちゅー声出してんねん」


カッコよく撮影してた淳太くんと照史くんが笑いながらこっちに声をかける。
だけど望はそんなのまるで聞こえてないようで、口元を押さえてぴょんぴょん飛び跳ねてる。


美「望、落ち着いて」

望「もっと撫でて！」

「あー...楽屋でね」

望「絶対やで！？」


濱ちゃーんと待機してる濱ちゃんにかけよる望の周りにはハートが大量に飛んで見えた。






重「...何で小瀧そないくっついてんの？」

「いやもう、今回は私が蒔いた種ですので」

望「Aがくっついてええって言うた！」

「そうは言ってない」


控室で私の隣を離れない望を大毅じとっとした顔で見てくる。
あっそ。なんてつまらなそうな顔して言ったら今日の歌番組誰がでんの？と私の手元にあった資料を無理矢理奪った。


重「お、キリコ出るやん」

「誰？」

重「この子」


大毅が指差したリストの先にはKIKIの文字があった。

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