7色の後ろ側 7《赤》

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重「...ん。着いた」

「...どーも」


駐車場にしげが器用に車を止めて、2人で降りる。


「今日、泊まるんだよね？」

重「おー」


何その気の抜けた返事。
私の心臓はあんたのせいで中々ヤバいというのに。
車の中しげの顔見る余裕すら正直なくて、ずっと窓の外を見てた。


「...は？」


エントランスに入るのに、意を決してしげの方見たらそこにいるはずのしげが、いない。


え、どこ？


私の方が先に車降りて、エントランス向かって歩いて。
てっきりすぐ後ろを付いてきてると思ってた。

でもそこに広がるのは暗い夜道と街灯。


「ちょ、しげ...？」


不安になってぼそっと名前を呼んでも返事がない。
え、誘拐？アイドル誘拐事件？
...どうしよう。ありえそうだ。

と、とりあえず電「何してんねん」


「ぅわ！？」

重「はっ！？いきなりデカい声出すなや！」


マンションの陰からにゅっと出てきたのは間違いなくしげだった。


「え、待って待って。今どこで何してた？」

重「あ？地球で息してた」


おいふざけんな？


「ちょ、メンチきんなや(笑)
元ヤン？Aさんもしかして元ヤンやってはりました？」


さっきまで私の中で一瞬流れた甘い空気が見事に消し去られる。


「今すぐ徒歩で帰れよ」

重「www」


一人ときめいたりしてバカみたいだ、私。

怒んなやーなんていつもの調子で笑うしげにいらっとしつつ、安心してしまう。
望の家にいた時のしげは、やっぱりちょっと怖かった。



重A「「ただいまー」」


「...」

重「何やねん。
ええやん、俺ここの鍵持ってんねんもん」


ほれって見せてきたのは私が前に渡した鍵。
しげのキーケースの中に違和感なく馴染む鍵が不覚にも、ちょっと嬉しかったり。


重「なぁ、飲みもん」

「お酒？」

重「水」


いつも通りずかずか家に上がったと思ったらいきなりそんな事言われて。
水だって普段なら勝手に飲むでしょうよ。
まぁそれもどうかと思いますけど。


「はい」


コップに水を入れて渡したら、そりゃもう一気に飲み干した。
そんな、喉乾いてたんだ。


重「...っはぁ、」


飲み干したコップをテーブルに置くと、しげがこちらをじっと、見てくる。


重「なぁ、それ早脱げや。小瀧の服」

「あー、うん。そだね」


テーブルに手をついて軽く見上げながら言ってくるしげに、反論する理由もなく素直に従う。

一度脱衣所で部屋着に着替えてキッチンへ戻るとしげはリビングのソファで胡座をかいて座ってた。

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