7色の後ろ側 5《赤》

44 ページ44

美和との久しぶりの女子会はもう楽しくって。

これを飲んだら解散と話してた白のボトルはすでに下げられていて、今はスパークリングのボトルがおいてあってそれももう残りわずか。


「だーかーらー！
一哉とはもう別れてるから」

美「でも幸せそうだったじゃん。
Aと一哉さんお似合いだと思ってたけど？
他所探すならまずは一哉に折り返しなよー」

「ちょっと。何でその事知ってんの」

美「さーいねーんしょー」

「あいつ...！」


チーズにブスッと力強くフォークを突き刺す。


美「まぁ、今のAが一哉に惚れ直すかはわかんないけど。
一哉以上に気になる人いそうだし...」


そう言ってちらっとこっちを見た美和がやたら色っぽくて。


「うっわ。美和色っぽい」

美「話そらすな(笑)」

「本当に思ったんだもーん」

美「はいはい」

「じゅんじゅんいいなー。こんないい女捕まえて」

美「ちょっと。酔ってる？(笑)」

「んふふふ(笑)」

美「ちょっともー」


大丈夫なの？と水を渡しながら聞いてくる。
確かに頭ぽわぽわする。
だって、なかなかの、アルコール摂取量ですよ、美和さん。


「...あのさ」

美「ん？」

「じゅんじゅんとの恋愛、大変？」

美「...楽だと思う？」

「...思わない」

美「そのとーりー」


これ食べちゃうねと美和が最後のチーズを口に含む。
私は続きの言葉を待つのにグラスに口をつけた。


美「...もうやめようって何度も思ったよ。
他にも好きになれる人きっといるし、好きになってくれる人もきっといるし」

「うん」

美「その人なら、堂々と手繋いで歩いたりできる訳だし」

「うん」

美「私なんかでも、泣いたりもしたしね(笑)」

「...うん」

美「でもさ、じゅんじゅん以上に好きになれるかなって思ったらね。
今だに好きな所どんどん増えてくるもんだから。
...腹括ったわ！」

「かっこいい...」

美「ふふふ(笑)」


あ。これは美和も結構酔ってるな？


美「残りちょっとじゃん。最後、乾杯しよ」

「えー？何に乾杯？(笑)」


ボトルの中身をそれぞれのグラスに注ぐ。
んー...と美和が何か考えるような素振りを見せる。


美「Aもさっさと腹を括れますよーに！(笑)
...かんぱーい！」

「かんぱーい(笑)」


お互いごくごく男らしく飲み干す。
...腹を括る、か。

美和がせっかく素敵な事言ってくれたのに、私はふわふわなこの頭でどうやって無事帰宅するかを考えてた。


まぁ、とりあえず。


「ちょっと、お手洗い」


少しでもアルコール抜いとこう。

45→←43

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す