7色の後ろ側 5《赤》

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美「25歳の抱負ないの？」

重「えー、ドラマとか頑張りたいわ。
あんまカッコつけんと、俺らしくやってこうと思いますぅ」

美「ドラマねー」

中「プライベートは？」

重「海外旅行、行きたいわ。ハワイ！淳太金出して」

中「なんでやねん！」


しゃぶしゃぶを食べながらしげの今後について話して。
いや、本当にすっかり忘れてた。

流星終わって、あとは照史くんだとばかり...。

そんな考えが顔に出てたのか、しげがビシッと箸で私を指差す。


重「てか自分何忘れてんねん」

「いや、一応祝ったし。神ちゃんの時まとめて」

重「それ小瀧は別にお祝いしたんやろ？」

「あれもさ、祝うつもりなかったもん。
濱ちゃんに呼びだされた流れで行ったけど」

桐「あの日俺が飯誘ったのは断ったくせにな！」


そう言って一気にビールを飲みほした照史くんが大声でビールのお代わりを店員さんに伝える。


重「オトンの誘い断って年下の男とデートしたんか！」

「家族ネタしつこい！」

重「しかも水族館行ったんやろ？」

「何でそんな事まで知ってんの？」

重「あいつが自慢しない訳ないやん」


そう言うと私が育ててた肉をしげの箸が奪う。


「ちょっ！」


睨んだけど目を見開いてふざけた顔して煽ってくる。
くそ、許さん。


美「まぁバレなくてよかったよね」

「一応人少ない時間狙ったけど、本当に怖かった」

中「スリルというかさ、バレるバレへんっていうドキドキも楽しめんのって若さよな」


さすが21歳なんて言って淳太くんがグビッと男らしくビールを飲みきって、照史くんのビールを持ってきた店員さんに日本酒を頼む。


重「ファンに会いそうな所とか俺行きたないわ。
ファンやって嫌な思いするし、彼女やって嫌な思いするかもしれへんやん」


しげが新たなお肉を投入すると箸をお鍋の中で揺らす。


「しげはまったく行った事ないの？」

重「女とやろ？ないない。元々そういう所そこまで好きでもないしな...あ゛ぁ！何すんねん！！」

しげが手元を箸からグラスに持ち替えたのを見計らってお肉を奪う。
いや先に仕掛けたのそっちだし。


重「俺の肉返せや！」

「もう飲み込んじゃいましたー」

重「くっそ！」

美「2人とも、もう少し静かにご飯食べて下さい」

中「なんでソフトドリンク組のがうっさいねん(笑)」



桐「俺はぁ、昔はちょいちょい行ってたけど、最近はからっきしやなぁ」


私達の絡みを一切無視して話す照史くんの頬っぺたは、色黒な彼の肌でも分かるくらいには赤い。

グラスを見たらさっき届いたばかりのビールの中身が既に半分減っていた。

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