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「何で」
重「俺あの仕事であがりやったから。
淳太と流星と濱ちゃんまだ仕事あるしな」
「だからって...」
自分の担当してるアイドルに迎えに来てもらうなんてありえないでしょ...。
重「もうちょいかかるんやろ。寝とけって」
「一人で帰れるからしげは帰って」
重「そんなん俺の勝手にするわ」
それだけ言ったらしげはベットの横の椅子に腰掛けイヤホンして台本を読み始めた。
これは本当に帰る気がないらしい。
とりあえず外まで一緒に行ってタクシー乗せて帰せばいいか。
私ももう一度横になる。
しばらくしたら看護師さんがもう一度来てくれて、
器用に点滴を外してくれた。
もう一度体調を確認されて、帰宅するよう言うと部屋を出ていく。
しげは針を抜く瞬間台本でがっつり顔を隠してた。
「針怖い？(笑)」
重「刺さってんねんで？人のとか見てられへん」
荷物これだけやんな？と私の鞄を手にするので慌てて持とうとしたけどひょいと避けられた。
もうタクシー着いてると思うから早行くで、なんて普段では考えられない位スマートに動く。
針を怖がる男とは思えない。
「ちょっと待って、会計だけ」
重「もう済んどる」
驚く私を見てドヤ顔を決めるしげ。
安心せぇちゃんと後でお前に請求するわ、なんて笑って言う。
「なんかちゃんと、気がきくんだね」
重「あ？ケンカ売っとんのか(笑)」
ケンカを売りたい訳もなく、素直に感心してしまった。
本当にタクシーは病院の正面に車を寄せていて、とりあえずこれでしげには帰ってもらおう。
「お迎えわざわざありがとう。
私一度さっきの現場と事務所戻るから、しげはこれで帰って...ぅわっ」
重「すんません、この住所までお願いしますー」
振り返ろうと思ったらドンっと背中を押されてそのままの勢いでタクシーの座席に手を着いた。
そのままぐいぐい押されて、押し返すことも出来ずにしげが乗り込んでくる。
しげが運転手さんにスマホを見せると、すぐに車が走り出した。
「ちょっと...！」
重「現場の車は代行頼んでもう事務所着いてる頃やで。
あとは事務所の自分の車取り行くだけやろ？」
「しげはもう帰ってってば」
重「俺を押し返す力もない奴がよぉ言うわ。
お前まだ大して回復してないやろ」
「そんな事ないって」
重「てか俺がちゃんとAの事送り届けんと淳太達がうっさいねんて。
お前もLINEやばいやろ」
確かにさっきから凄い勢いでLINEが来ていて、通話も何度か。
見たら望だったから申し訳ないけど無視してる。
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作者名：のら
| 作成日時：2019年6月12日 1時
