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望が急に後ろに立って、押し返そうとしたけどびくともしない。
顔を見上げたらいつものタレ目のかわいい顔じゃなくて、やたら男らしい顔してて。
うわ、かっこいい
そんな事思ってたら望の顔が気付けば目の前で。
ぼそっと何か言ったけど聞き返す前に口を塞がれた。
音も立たない静かなキス。
一瞬触れて、すぐ離れた望の唇はそれでも目と鼻の先にあって。
目を見つめられたままされたキスに、私は少しも動けないで立ち尽くした。
望が少し目を伏せて、その睫毛の長さに見惚れてたら、また一瞬唇を塞がれる。
望「...目、閉じてや」
言う事を聞いてしまったのはその低い声があまりにも色っぽくて、その瞬間続きを望んでしまった私がいたから。
目を閉じると唇の感触がやたら鮮明に感じられて、その柔らかさを素直に堪能してしまう。
さっきとは違う長めのキス。
お腹の辺りが暖かくなって、目を閉じていてもそれが何かわかるのは、私もそれなりに経験があるからで。
望むの大きな手が私の素肌に触れて、そのまま少しずつ登ってくる。
「望の唇、やわいね」
一瞬離れた唇から、私の本音がそろっと漏れた。
瞬間望が体を後ろに引く。
その表情を伺うと顔も耳も真っ赤になっていて、さっきまでの男らしい顔とはまるで別人。
望「...あっつ!!顔、熱い!!!」
ぱたぱた手で自分の顔を仰ぐその額には確かに汗が
滲んでる。
一方で私は罪悪感とでもいうのか、犯罪スレスレの行為をしてしまった気がして、一気に背筋が凍る。
だって彼はまだハタチで、やっと成人になったばかり。
そんな子相手に間違いなく私はむらっとした訳で。
彼がこのまま行為を止めなかったらどうなっていたのかと思うと恐ろしい。
「私、たまってるのか...?」
望「はぁ!?」
彼はまだ顔を赤くしながらそれでも私の独り言を聞き逃さなかった。
「いや、だって望のキス拒めなかったし...
普通に気持ちいいとか思っちゃった...」
望「あかーん!そんなん思ってても声に出さんで!恥ずかしい!!」
もう空気ぶち壊しやー!そう言って望はその場にしゃがみこんでしまった。
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作者名:のら | 作成日時:2019年6月12日 1時