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小「何しててん。マジでデート？俺声かけたん違った？」
家に向かう俺らの影は街灯に照らされて伸びたり、縮んだり。
結局一つの傘に2人肩を並べて歩いとる。
それでも濡れてもうたAに、ちゃんと乾かせやって俺が空いとる手でタオルをごしごし擦り付けたら鬱陶しそうに払いのけられた。
「そんなんじゃないよ」
小「あれ年下やろ、何繋がり？」
恋人でも無い俺がこんな事を聞くのは恐らく間違っとるんやろう。
やけどAが素直に言うてくれてるのを俺は知っとる。
「なんだろう、なんか難しい」
顔を渋らせるのはそれが嘘やないから。
やけど難しいって何？
小「まぁええわ。ほら上がり、着替え貸す」
「ありがと」
どこまで突っ込んでええんかな。
きっと聞けば話してくれる。
やけどそれを、俺はお前から話し出してほしいと思ってる。
それは俺の我が儘なんやろか。
俺が普段部屋着で着とる服を貸せば、Aにはどうしたってサイズオーバーで。
俺は1人理性との戦闘が始まる。
小「送るから」
「ん」
俺が送るって言う時Aはあまり断らない。
それは俺が男の見栄とか、あわよくば的な事を考えて言うてる訳じゃない事を知っとるから。
ただ無性に心配になって、不安になってまう俺にこいつはきっとだいぶ前から気づいとる。
「風鈴祭にね、毎年行ってるの」
小「...へ？」
話し出したのはAの家へ車を走らせている時やった。
「ここから電車で1時間くらいかな。
今くらいの時期にやってて、それに毎年行ってる」
小「へぇ、風鈴好きなん？」
Aは何も答えんかった。
「そこで何度か私の事、見かけてたんだって」
小「は？それで声かけてきたん？」
それ絶対ヤバい奴やん。
「いや、少し前に知りあって。
今日も偶然会ったの。
それで聞きたい事があるって」
小「ほんまに偶然なんよな？」
「そりゃそうだよ」
変な奴には見えんかったけど。
なんや今時男子って所は鼻につくけど。
「小瀧、大丈夫だよ」
Aは“心配しすぎ”な俺にそうは言わん。
俺とA、過去に縛られとるのはどっちなんやろう。
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作者名：のら
| 作成日時：2020年9月8日 12時
