夏にとける side N.K (ページ25)

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いつぶりやろうってくらい、泣いた。

卒業式の度に俺は泣いてまうけど、そんなの比じゃない位に泣いた。

大の大人がこんなに泣く事なんてたぶんそうそうない。

生徒も他の先生達も警備の人もこの多目的室に来なかったのって割と奇跡に近いと思う。

窓の外から赤い夕日が差し込んで俺らの影を伸ばす。

それを見ながら、あぁシゲがよう着てたバンドのTシャツは赤色しとったなぁって思い出した。
よう、似合っててんなぁ。

「...こんなに泣いたの、久しぶり」

小「...俺も」

2人揃って鼻を啜りながらぼーっとホワイトボードを眺めた。

「誰にも言った事、なかったんだけど」

小「うん」

「意識がない時ね、大毅先輩と一緒にいたの」

Aの視線は前を向いたまま、その口調はまるで物語を話すみたいに落ち着いとる。

「時間の感覚とかなくて、あそこが何処かもわからない。でもずっと一緒にいてくれて、すごく幸せだったの」

小「うん」

「先輩は自分が寂しいからみたいに言ってたけど、きっと私の為だったんだと思う」

小「...せやな」

「...なんて、そんなの私の都合のいい妄想かもしれないけど」

小「妄想ちゃうやろ」

やって、

小「俺もシゲに会うてん」

忘れられない、あの夏。