夏にとける side N.K (ページ2)

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あいつと俺の関係って何なんやろう。
先輩と後輩？友達？仲間？

わからへんけど、俺は結構好きやった。
そんなん本人に言うた事なかったし、言う気もなかったけど。

やってそんなんこれから先、幾らでも言おうと思えば言えるもんやと思ってた。

ウザいくらいのお調子者。
先輩なんて思った事正直一度もないくらいのアホ。
歯やってあれ絶対人間以上に生えとる。

誰よりもしぶとく生き残りそうな癖して、あいつは呆気なくこの世を去った。

俺らを振り回すだけ、振り回して。

新「小瀧先生、この後よかったら飲み行きませんか？」

小「ごめんな今日予定あんねん」

新「もしかしてデートっすか？」

小「そんなええもんちゃうわ(笑)
じゃーな、おつかれ」

自分の机は割といつも綺麗やと思う。
潔癖とは言わんけど、整理整頓好きやし。
今日も最後に書類をまとめて机の端によせてからそんな会話をして席を立った。

他の先生にも声をかけてそのまま職員室を出る。

去り際俺に声をかけてきた新任が他の先生らにどつかれて、注意されとるのがうっすら聞こえた。

先「バカお前、今日はそっとしとけって言っといただろ」

新「え、今日でしたっけ！？」

先「今日だよ、それも丁度10年になるんだから」

そんな気を使わんでええのに。
まぁそのおかげで俺は仕事始めても毎年、今日ばかりは早い時間であがれんねんけど。

吹奏楽部の演奏に、運動部のかけ声。
十年たった所でそれは俺がここで学んでた頃と何も変わらへん。

生「のんちゃん先生さよーならー」

小「おいこら、小瀧先生て呼べ言うとるやろ！寄り道せんと帰るんやで」

キャッキャ高い声で笑いながら駆け足で廊下を走る在校生は、自分達が今世界の中心と思って疑わない。
ほんでそれも、あながち間違ってもないなぁなんて、俺は思う。

あいつなんかは特に。
きっと世界一、宇宙一幸せやったはずで。

それなのに何でなん。

ウザいくらいのお調子者。
先輩なんて思った事正直一度もないくらいのアホ。
歯やってあれ絶対人間以上に生えとる。

重岡大毅がこの世を去って、今日でちょうど10年経った。