続・あの日あの時の後ろ側《虹》

、 ページ39

side 重岡


重「なーあ」

「なーに」


キッチンへ消えたAに声を投げ掛ければ上手にキャッチして俺へ戻してきた。


重「次はバニラとチョコ買うてこよか」


ダイニングからこっちを覗いてくる。


「期間限定ものって実際フルーツ系が多くない？」


もうちょい口下手くらいな方がかわいいのに。


重「かわいくな(笑)」

「全然ノンフィクションじゃない」

重「ガチでノンフィクションな歌詞書くかボケ」


Aはにやりと笑ってトイレに消えた。









『大毅来るの昨日じゃなかったの？』

重『急に仕事入ったから無理やったんやって』

『連絡くれたらいい話じゃん』

重『お前も仕事で電話出れんかったやん』

『じゃあメールすれば済む話でしょ』

重『そんなんも難しい時あんのお前ならわかるやろ？』

『じゃあ夕飯作って待ってた私がいけなかったんだ？』

重『...ちょ、あかん。頭冷やしてくるわ』

『...ん』




重『...ただいま』

『…おかえり』

重『なぁ、アイス買うてきた』

『ん』

重『お前バニラとチョコどっちがええの』

『どっちでもいい』

重『ほんならお前バニラな』







いつかのほんま些細な喧嘩。
ふざけて言い合う事なんて仕事一緒にやっとる時からようあったから、一々こんなんアイツは覚えてもなかったんやろ。



重「なーにがノンフィクションやない、やねん」





「大毅何か言ったー？」


トイレから戻ってきたAはついでに脱衣所にも寄ったらしい。
その手には2人ぶんの歯ブラシが握られとる。


重「なんも。歯ぁみがこ」

「ん」


しゃーないから今度しょーもない事で喧嘩したら、コンビニでご希望のアイス買うたるわ。









fin.

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