続・あの日あの時の後ろ側《虹》

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「正直さ、意外じゃない」

重「これがネズミードリームや」

「何それ(笑)」

重「皆頭浮かれとるから、他所様のことなんて気にせぇへんねん」


蒼太が喜ぶようなものは粗方乗り終わった夕方、夜に向かっていく空は綺麗なグラデーションを描くから。
夢の国はより一層その夢味を増す。

キャラメルみたい甘い匂いに、綿菓子みたいな空模様、園内に流れる音楽は誰が聴いたって心躍るような軽やかなメロディ。

ネズミードリームなんてふざけすぎてるその言葉に信憑性を感じてしまうほど。

だって今私達3人並んで手を繋いで歩いてる。
こんな人が多い所で、まるで普通の家族みたいに。


蒼「次あれ乗るー」


小さな手が指さした先にある洋館は、お洒落なのにどこか不気味雰囲気がある。


「蒼太怖くないの？」

蒼「大丈夫！」


前に美和ときた時は、怖いって大泣きした癖に。


重「おとうちゃん一緒なら怖ないやんなぁ」

蒼「おかあちゃんが一緒だから！」

「んふふ、おとうちゃん残念(笑)」

重「お前そんなんやとマザコン言うていじめられてんで」


ムスッとした顔で蒼太の頭を撫でて、最後尾に並んだ。
いかんせん人気アトラクション、無言でマスクを差し出すけど大毅は知らんぷりでマップなんか見てる。


蒼「んん」

「ん？蒼太眠たくなってきた？」

重「これ終わったら帰るか」

蒼「やぁ...」

重「夜になるとこっからオバケ出てくんで？」


しゃがみ込んだ大毅が洋館を指さす。
するとえって小さく声を上げて不安げに私を見上げてきた。


「そうだよ？だからいつも暗くなる前に帰ってたんでしょ」

蒼「...帰る！」

「「(笑)」」


近くに並ぶ人にもきっと会話が聞こえてたんだろう、クスクス笑う声が聞こえた。


怖がらせすぎたかなぁなんて後悔し始めたのは、もうちょっとで洋館の中に入れるってタイミング。

わかりやすいほど蒼太の足取りが重い。


重「蒼太、前進まんと」

蒼「...」

重「怖なったんやろ(笑)」

蒼「...」


無言で私の足にべばりついてる(笑)


「蒼太、後ろに並んでる人に迷惑だから」

蒼「...」


あまりに黙りを貫くから、つい大毅と顔を見合わせた。
しゃあないなぁって蒼太を抱え上げる。


重「これ乗るんやめるか？」

蒼「...」

重「怖いんらったらやめてもええよ」

蒼「...」


ぎゅうって蒼太が大毅の首元に抱きついて。
ああ、この光景もムービーで撮っておきたいなんて思う私は親バカでしょうか。


重「そのかわりおかあちゃん1人で乗らなアカンからな？」

「「えっ」」


予想外の提案に私達の声が揃った。

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