指先に魔法、耳元に宇宙《緑》

19 ページ19

side 神山

重「神ちゃんもう復活したん？」

神「おん。お陰様で復活したわ」

重「年末はいつもやんな」

神「今年は大丈夫や思ってんけどなぁ」

重「ニラが足りへんねんってニラ食えニラ！」

神「はいはい、せやねぇ」

重「絶対食わへんやん！(笑)」


風邪はその後悪化する事もなくて、ほんまよかった。
年末はカウコンして、終わったらすぐツアーも始まるし。

リハのスタジオへ向かう中、さっきまで静かに寝とったくせに起きた途端テンションの高いしげが声をかけてくる。


神「しげ元気やなぁ」

重「年末やからな！」

神「意味わからん(笑)」

重「ドームやしさぁ、他のグループの奴らとも会えるやんか」

神「確かにそれは嬉しいよなぁ」


俺らが唯一ドームに立てる機会。
やけど、いつか、俺らだけで立ちたい。


重「俺らだけでさぁ、あのでっかい会場埋めたいよな！」


白い歯見せてそんなん言うて。
ほんま、考える事はおんなじやわ。


神「絶対実現させよ」

重「おう！」





尚「神ちゃんは1日の年越しライブ後どうするの？」


運転しながら黙って俺らの話を聞いてた尚がフロントミラー越しにこっちを覗く。


神「家引き籠ってごろごろしとくわ、2日からリハ始まるしな。
2人は一緒に過ごすんやろ？」

重「こいつが一緒におりたいってうるさいからしゃーなしな？」


ニヤニヤ笑ってそんなん言うて。
もう、俺知らんで？


尚「あー、いやいや。
当日は重岡さんもお疲れだと思うので。
ご自身の家でゆっくりお過ごし下さい」


視線を前に向けたらスッパリそんなん言われて。


神「尚なんならウチ遊びきてもええよ、うちの子らにも会いたがってたやん」

尚「え、どうしよう本当に行きたい」

重「おいコラ！堂々と浮気しようとすな！！」


運転席の方に身を乗り出したしげを邪魔って言いながら器用に片手で退ける。

しげもしげで一瞬ムスっとする癖にすぐ歯ぁ見せて笑いよって。


神「んもー、イチャつくんやめてや」

重「そんなんちゃうわ！」
尚「そんなんじゃないよ」


同時にそんなん言われたら説得力のカケラもない(笑)

窓に頭を寄せて、スマホを開く。


神『おはよ！今日も仕事行ってくるわ！』


朝家出る前にAに送ったチャット。


『おはよー』
『行ってらっしゃい、頑張って！』


いつの間にか届いとった返事を確認したら、俺の口元もしげに負けんくらいニヤけてもうて。

マスク、つけとってよかった。

20→←18

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す