指先に魔法、耳元に宇宙《緑》

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side 神山

『智さんが奇抜チビなら、私はなんだろう...のっぽ魔女って感じかな(笑)』


そんな風にふざけて言うAちゃんは、言葉と裏腹にちょっと声のトーンが落ちとる気がした。


神「何で魔女？」

『顔キツいし、黒とか暗い色の服着る事多いから昔ら魔女ってよく言われてたの(笑)』

神「...何なんそれ」


それはたぶん、褒め言葉として使われるやつやなくて。


『まぁ自分でもその通りだなって思うけどね。黒魔術とか使えそうっていうか(笑)』

神「そんな事ないって、やって、声とかめっちゃかわええやん」


これはほんまに、おれの本心やった。


『ぅえ、智さんキザな事言う(笑)』

神「は？言うとくけど本気でそう思ってんで？」

『恥ずかしいから、やめてください(笑)』

神「やって、ほ『ほんとーに！もう、この話終わり！』


俺の言葉に被せるようにそう言うたら、あ、新しくネイルチップ作ったんだよって。
そんな分かりやすく話を逸らされたらそれ以上、言えへん。

あかの他人。
俺はAちゃんの容姿も何も知らん。
そんな俺が何を言うてもきっと、響かへんのやろうな。


神「...どんなん作ったん？」

『写メ送っていい？まだ途中なんだけどね』

神「おん、見たい。送ってや」


俺がネイルの話題に乗ったら、ほら、ちょっとほっとしたように声色が柔らかくなる。

声しか聞こえへん。
やからかな、それだけで感情の変化が少しわかんねん。


届いた写メを見たら淡いピンクとパープルにブルーがマーブルに混じっとって、えらい可愛らしい。


神「めっちゃかわええやん！こんなんつけんの？」

『ううん、似合わないから作って満足して終わり』

神「もったいないわ、使いや。
ネイルチップなんやったらその日で外せるんやろ？」

『そうだけど、本当に私のイメージに合わないから(笑)』

神「そんなん、自分の気持ちの問題やって。
つか俺、そのうちこんな髪色にしたいねんなぁ」


そう言うたら、えらい驚いたような声がかえってくる。


『は、え！？この色！？』

神「おん、ユニコーンカラー。
何で？めっちゃかわいくない？」

『え、いや、すごい、かわいいけど...』


周りの目、気にならない？
Aちゃんがそう小さく言うた。


神「そんなん、注目されたもん勝ちやって！
やって、それが俺のしたい俺の姿なんやからさ」

『...やっぱり、智さんはかっこいいね。
私はネイルで発散するのが精一杯かなぁ』

神「このちっさい世界でそれを表現できるのも、めっちゃカッコええと思うで？」


俺がそう言うたら、Aちゃんがありがとうって優しい声色で言うた。

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