指先に魔法、耳元に宇宙《緑》

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side 神山

『え、何それまじ？』
『こんなんで嘘つくか』
『てかそんな驚く？』
『そんなんしょっちゅうある』
神『やけど身近な人で初やったから』
『tomo氏の初めて頂いちゃったw』
『www』
『おめ』
『おめ！』
『おめめ！』
『お目め！』
『眼球！！！』
『あざすwww』
神『ほんまにおめでとう！ほんなら俺そろそろ寝るわ』
『おつかれー』
『おやすみ』
『また時間合ったら話そうぜー』
『ﾉｼ』
『ﾉｼ』


開いていた画面をスワイプで消すと、自分の愛犬と愛猫の見慣れた待受に戻った。


神「ネットで出会って結婚かぁ...」


ベットでずっとうつ伏せてたから腰が硬なっとって、ごろんと寝返りをうって仰向けになり腰を伸ばす。

たまーに開くチャットアプリが今日は一段と盛り上がっとって、寝る前に少し顔を出した。
ほんなら結婚したなんて朗報。そりゃ盛り上がるわ。


元々は皆同じオンラインゲームでチーム作っとって。
俺は気に入ってたけどまぁ、このご時世似たゲームは日々売り出され。
メガヒットでもせんと、あっちゅうまに廃止になる。

俺らがやっとったゲームもその流れには逆えず。
1年もして、チームの仲も良くなったタイミングで廃止が発表。
そのうち誰か1人が言い出した。



『せっかく仲良くなったんだし、グループチャットでたまに連絡だけでもとろうぜ』



ほんでいつもお世話になっとるメッセージアプリとはべつに、チャットアプリをダウンロードした。


話すのはほんまにたわいない事ばっかりで、ありがたい事に仕事が増えつつある俺は最近そこに混じる事もできひん。

それでもそろっと入ってどこの誰かもようしらんメンバーと話すのは楽しかった。


アイドルという仕事柄、神山智洋としての生活には多少なりとも制限がある。
もちろん、それが苦痛と思わないほど魅力的な世界でお仕事させていただけてる訳やけど。

ネット上の世界は、何が嘘で本当かもわからんで、皆好きに自分を演じとる。
それは俺もおんなじで。
俺はアイドルでもなんでもない、ただの24歳の男の人になる。


やからさ、それこそ弱音だってなんぼでも吐けんねん。
やけどさ、



神「結婚て...そんなめでたい報告の後に失恋したとか言えへんやん」



はぁ、なんて溜息ついたら、愛犬のアムルがチロチロ指を舐めてくる。
頭をくしゃっと触って、癒される。
癒されるけど、そういうんやなくて...



誰かの声、聞きたかってん。

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