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神「どこで失くしたんやろって...」
「ね、あの時そんな事気付く余裕、なくって」
智洋にそれを返せば力強く、それを握りしめているようだった。
「よし、ネイルやろっか」
そこ座ってとローテーブルの前を勧めたら静かに座って、片手を差し出してくる。
だけど、どんなデザインにするかと聞いても彼は答えてくれなかった。
「智洋？」
神「...うそ」
「え？」
神「どこで失くしたんやろなんて、思ったん、嘘」
準備を始めようと智洋の手に添えたはずの私の手はいつの間に逆に智洋に握られていた。
神「あの日、ピアスがないって気付いて絶対Aやって思った」
神「Aの所にあるんやって、それが運命でも魔法でも偶然でもそうであって欲しいって、もう1回会って、ちゃんと、直接、話したいって...！」
言葉を詰まらせながら、それでも話をやめようとはしなくて。
神「どうしたって、忘れられへんかった。
あの翡翠色も、声も。
アプリ上の繋がりでしかなかったのかもしれへんけど、そんな奴に言われても信じられへんかもしれんけど」
「、」
神「ほんまに...好きやった」
力強い目で見つめられたら、言いたい事があるのに上手く声が出せない。
昔の、私みたいだ。
神「...ごめんな、相手おるのにこんなん言うて」
何も言わない私に困ったような笑顔を向けたら、流石に余裕ないから、帰るな。って握ってた手を離すとゆっくり立ち上あがって背を向ける。
言わなきゃ、ちゃんと。
もう、昔の私じゃない。
「...待って」
馬鹿みたいに小さい声、こんなのが聞こえる訳ない。
なのに智洋は、玄関の前で一瞬こっちを振り返ったから。
その背中に体を寄せた。
「たまに、すごく寂しそうな顔をするねって」
神「え、」
「俺じゃない誰かを想ってる時があるの、気付いてないと思った？って言われた」
神「...」
「何も言えなかった、あの人が言ってること全部、本当の事だったから」
智洋は何も言わずに私の声に耳を傾けてくれた。
「無理だってわかってたよ。
アプリで繋がっただけで、ましてやアイドルで、私達がこれから先出会うことなんてありえないって」
神「...うん」
「それでも、忘れられなかった」
君の耳元の宇宙が。
「当然、振られて。もう、それからはずっと片思いしてる」
神「...Aはやっぱ、見る目ないなぁ」
振り返った智洋の腕に包まれる。
私はそれを静かに受け止めて。
視界の先に見える彼の耳元に私の指が触れた。
神「それ、両思いやで」
翡翠色の指先と深緑の宇宙。
やっと、繋がった。
fin.
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のん(プロフ) - すごく引き込まれる作品でした…好きです (3月5日 16時) (
レス) @page45 id: 8e0d3b7125 (このIDを非表示/違反報告)
yamayuri(プロフ) - 7色が好きで作者さんの作った作品他のも読ませていただいてます。ただ、この作品の神ちゃんがすごい好きで、、、この後の2人がどうなるか書いて欲しいです！無理だったら大丈夫です。。。検討していただけると嬉しいです！よろしくお願いします！！ (2020年9月2日 4時) (レス) id: 0b520730b2 (このIDを非表示/違反報告)
のら(プロフ) - Mitarashiさん» 返事がとてもとても遅くなってしまってごめんなさい！7色と合わせて読んでいただけてるみたいで、嬉しい限りです。ロマンチックにしたいけどそういうのがバンバン浮かばない歳なので、そう言っていただけると励みになります。また別作も楽しんで頂けるよう頑張ります！ (2020年5月4日 14時) (レス) id: c16071a927 (このIDを非表示/違反報告)
Mitarashi(プロフ) - お疲れ様でした！！！7色と繋がっていることが私的にはすごく嬉しくて、余計にズキュンときました！のらさんの作品はとてもロマンチックだなとニヤけながら読んでます。これからの作品も楽しみにしてますね！！ (2020年3月19日 5時) (レス) id: d6da5b09b1 (このIDを非表示/違反報告)
のら(プロフ) - Mikirangeさん» コメントありがとうございます！いろいろややこしくなってしまって、それでもそんな風に言って頂けると安心します...。次回作できたらぜひ、またお付き合いください！ (2020年3月13日 8時) (レス) id: 81068f83fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のら
| 作成日時：2020年1月21日 20時
